校長室より【ここが、がんばりどころ】
入力日
2022年2月15日
内容
ここが、がんばりどころ
2月。節分、立春を過ぎ暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続いています。本校の中庭には立派な梅の木があります。昨年の夏にはびっくりするくらいたくさんの梅の実がなりましたので、開花を楽しみに待っていました。今年の梅の開花は遅かったようで、中旬になってようやく咲き始めました。満開になるのが楽しみです。
2月になっても新型コロナウィルス感染の拡大は続き、第6波の真っただ中といった感じですが、ここががんばりどころ、ふんばりどころなのかもしれません。もうちょっとでピークアウトがくるかもしれません。3回目のワクチン接種が進むと感染拡大は落ち着くかもしれません。飲み薬も処方されるとの報道もありました。今後も気を引き締め、基本に忠実に感染症対策を行っていきたいと思っています。
■ あれもこれも、なんでも
先日ふと自分が高校に入学したときのことを思い出しました。もう40年以上も前のことです。私が通った高校では新入生の学級編制は、男女別に芸術科目(音楽、美術、書道)の選択によって行われていました。私が所属した1年1組は「男子の音楽選択者」のクラスで、先生方からはいわゆる悪ガキの集まりと思われていたようです。
入学式直後のホームルームでは、45人の男子生徒全員が神妙な面持ちでかなり緊張ながら、担任の先生の話に耳を傾けていました。担任のT先生は一昨年亡くなられましたが、当時は40歳代前半で厳格な指導をされる英語の先生でした。T先生ご自身が母校での勤務1年目であること、高校時代は自宅から学校まで遠くて通学で苦労したことなどを話されました。そして、私たち1年1組に期待することとして、
・偏った人間になってはいけない。
・勉強ばかりではだめ。掃除もさぼらずしっかりやりなさい。
・人間は、いろんな意味でバランスがとれていないといけない。
といったことを話されました。特に「掃除もさぼらずしっかりやりなさい」といわれたことが妙に記憶に残っています。今振り返ってみると、掃除というのは単なる例えで、高校生として勉強だけでなく、部活動だけでもなく、掃除もしっかりやるようなバランスのとれた人間になるよう努力しなさい、ということをおっしゃりたかったのだろうと思います。
高校入学から40年余りが経ち、これまでの私の教職生活を振り返ってみると、教育は人格の完成を目指すのだと頭ではわかっていても、ときに「○○さえやっておけばよい成績が収められる」とか、「△△さえやっておけばきっと成功する」といった狭量な考えにとらわれることがありました。バランス感覚を失い、偏った考えに左右されることもありました。
日々の教育実践は、「あれかこれか」といった択一的な偏った思考の下でなされるのではなく、「あれもこれも、なんでも」といった総合的な思考の上に柔軟に行われるべきものだと改めて感じています。「あれもこれも、なんでも」と考えることで、児童生徒のまだ表に現れていない力を見出し、引き出し、伸ばしていけるのではないかと考えています。子どもには無限の可能性があると信じています。そして、そう考えてみると少しワクワクしてきませんか。
(令和4年2月15日)
校長 鶴田 欽也
閲覧数
429