校長室より【深く考えること】
入力日
2021年7月5日
内容
深く考えること
5月から6月にかけて、佐賀平野は黄金色の麦畑から緑色の水田へと様子が一変します。この時季、私は子どもの頃の出来事を思い出すことがあります。当時は蚊取線香を焚き、夜は蚊帳を張るのがあたりまえでした。家族がみな寝静まったある夜のこと、ふと目が覚めた私は、蚊帳にぼんやりとした小さな光を見つけ、思わず声を上げてしまいました。隣で寝ていた親から蛍だと教わりました。その後も、何度か蚊帳にとまった蛍を目にすることがありました。そのころ、窓には網戸はなく、エアコンは普及していません。夏には蛍が家の中に迷い込んでくるのはよくあることでした。
今年は5月中旬に梅雨入りしましたが、6月に入ってもからっと晴れる日が多く、真夏日も続いています。まだコロナ禍は続きそうですが、夏至、小暑、七夕と季節は夏に向っています。夏本番も目の前です。
■ 研究授業と授業研究会 深く考えること
校内では5月下旬から毎週2、3回研究授業が行われています。初任者研修や経過3年研修の先生方による研究授業です。今年度、本校には新規採用の教職員が小学部と中学部にそれぞれ2名、高等部に3名、事務に1名と合計8名配属されています。研究授業に伴って、放課後には授業研究会が開催されます。可能な限りその両方に出席しています。短い時間ですが、授業を参観して、授業や教育活動のあり方などを考えるよい機会となっています。
ベテラン教師であっても研究授業では多少緊張するものですが、新採の先生方はみな落ち着いて授業をしてい(るようにみえ)ます。十分な教材研究や事前の準備、児童生徒一人一人についてのしっかりとした実態把握、それに基づく個々の児童生徒の目標設定や評価、そして児童生徒の興味、関心を惹くような工夫…と、どの先生も4月の採用から3カ月、苦労しながらも一生懸命がんばっていることがわかります。授業の展開は、30年以上前私が新採だった頃と比べると、児童生徒の自主性や主体性を重視したものになっています。そこでは、目の前の児童生徒に対する「伸びてほしい」「こうなってほしい」といった思いや、教えることに対する情熱を感じます。
教師(私も含めて)の基本は、授業に限らず教育活動全般において、自分のアタマでしっかりと考え、気持ちを込めて自分のコトバで伝えることにあります。この10年ほど「主体的・対話的で深い学び」というフレーズを耳にします。全国各地で主体的・対話的で深い学びの実現のために、さまざまな取組や授業実践等が行われ、学びの質が向上しているように思います。そして、その多くでは、教師自らが深く考える ―― トコトン考え抜くプロセスを大切にしようとする教師の姿勢が窺えます。
教師自らが深く考えることなくして、児童生徒が深く考えることはありません。深い学びはありません。授業では、教師が深く考えているかどうかはその言動に表れ、児童生徒はそれを感じ取り、自ら深く考えるきっかけをつかむことがあると思います。(令和3年6月29日)
校長 鶴田 欽也
※ 5月から学校評価計画をHPにも掲載しております。ぜひご覧ください。
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