令和5年度 校内研究

【令和5年度 佐賀県 吉野ヶ里町立三田川小学校 教育研究計画】

① 研究主題

自他を尊重しながらコミュニケーション力を高める外国語教育の在り方

~「つながり」を意識した中間指導を通して~

 

② 主題設定の理由

予測不能な社会の到来を予期し,「絶えず流動的に変化し続ける社会を生き抜くために」という枕詞が使われ始めたのが,ここ十年のことである。この間,AIの登場により,今後無くなるであろう職種が紹介されるばかりでなく,AIが人間を超えていく,シンギュラリティの到来が語られてはいたが,そのような時代の到来を信じることができない者も多くいたとのことであった。しかしながら,「Chat GPT」に代表されるサービスチャットの登場により,社会情勢が指数関数的に変化する段階にいよいよ入ってきた。このような中において,外国語を用い,国籍や人種を問わず,他者の抱える背景に配慮しながら,関わり合っていく資質・能力を育むことは,我が国の喫緊の課題である。

本校では,平成22年度~平成28年度まで,国や県の委嘱を受け,外国語活動の指導とコミュニケーション活動について研究を行ってきた。そして,新学習指導要領への移行期間であった令和元年度より,新たに県の研究指定を受け,外国語教育の研究を継続している。このような意味で,本校は,佐賀県下における外国語教育研究のパイロット校としての役割を長年,担ってきたといえるだろう。

前年度までの研究では,言語活動を軸とした実践を行いながら,思考を促す手立てについて研究に取り組んだ。その結果,児童の思いや願いを基に単元を構成することにより,相手意識・目的意識を明確にし,何をどのように学ぶのかを児童が自覚しながら,学習を進めることができた。また,進んで人と関わろうとする意識の高まりや,友達の頑張りに気付いたり,考えを認め合ったりする姿勢が見られた。

しかし,それと比べると,自分のよさや成長に気付き認めようとする児童の割合はやや少なめの傾向が見られた。母語ではない英語を中心に表現することへの難しさから,外国語学習に対する「わかった。」「できた。」という達成感を十分に感じられず,自信をもって活動に取り組むことができない児童がいることや,外国語の学習に向かう力を涵養したりすることが課題として残された。

そこで,本研究では,外国語の授業に学び浸るための児童の資質・能力に目を向け,他教科や学校行事等での意図的な活動とのつながりを意識した単元づくりや授業づくりに取り組んでいくこととする。そうすることで,学習指導に留まらず,学級経営や生徒指導などの教育活動全体と外国語教育で伸ばしていきたい資質・能力を関連付けながら意図的・計画的に資質・能力を育むことができると考える。そうした教科間や学校行事等とのつながりを意識した言語活動の設定を意識して行っていく。また,授業の中では,身近な友達や教師とのつながり,社会とのつながり,既習内容とのつながり等,学年の発達段階や学級の実態に応じた「つながり」を意識しながらよりよいコミュニケーションに高めていくような中間指導に力を入れて取り組むことで,協働して学びながら,他人も自分も大切にし,互いを尊重する気持ちを高めていくことを目指す。

以上のことから,外国語教育を通して,お互いの考えや気持ちを伝え合いながら,ゴールの活動に向けて共に学び合っていくことが,相互尊重や主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育むと考え,本主題を設定した。

 

③ 研究の目標

外国語の言語活動を通して,児童が言語や文化に親しみ,自他を尊重しながら進んでコミュニケーションを図ろうとする児童を育てる外国語教育の在り方を探る。

 

④ 研究の基本構想

本校では,学校教育目標の下,外国語教育の目標等を以下のように設定した。

 

学校教育目標

ふるさと三田川を愛し,新時代を強く生き抜く児童の育成

~かしこい子 心ゆたかに たくましく~

 

本校の外国語教育の目標

外国語を使った活動を通して,言語や文化,他者についての理解を深め,外国語に親しませながら,進んで人と関わり合おうとする態度を養い,自分自身や友達を認め,分かり合うことができる児童を育成する。

 

目指す子どもの姿

低学年

中学年

高学年

○ 外国語を使った活動を楽しみ,仲良く周りの人と関わろうとし,活動を通して,友達や自分のよさに気付く子ども

○ 外国語を通して何とか自分の思いを伝えようとする子ども

○ 外国語を使った活動に関心をもち,進んで周りの人と関わり,相手を理解しようとし,友達や自分のよさに気付く子ども

 

○ 外国語を使って,相手に配慮しながら,何とかして自分の考えや思いを表現する子ども

○ 外国語を使った活動に関心をもち,進んで周りの人や事柄に気を配りながら,他者を理解しようとし,友達や自分のよさに気付き,互いに認め合う子ども

○ 外国語を使って,他者に配慮しながら,何とかして自分の考えや思いを表現し,伝え合う子ども

 

研究仮説

外国語教育の時間において、基盤となる学級経営や他教科等との連動を意識した取り組みをすることで、児童が日常的により深く関わり合い,自他を尊重し合うようになり,コミュニケーション力を高めることができるであろう。

 

令和5年度 1/2年次

令和6年度 2/2年度

○言語活動の充実

○ICT機器の活用

○中間評価・中間指導の工夫

○ルーブリック,ポートフォリオの実践

○言語活動カリキュラムの作成

○言語活動のより一層の充実

○ICT機器のより効果的な活用

○中間評価・中間指導の工夫,改善

○ルーブリック,ポートフォリオの修正,実践

○言語活動カリキュラムの追加・修正

 

 

 

 

⑤研究内容と方法
ア 単元開発,教材・教具の開発
○ 児童実態の把握(アンケート等の実施と分析)       
○ 単元や授業における活動の配列の工夫         
○ 授業における効果的な教材・教具作りや提示方法の工夫 
○ 児童の活動を支援する教材・教具作りや提示方法の工夫 
○ ICT機器を活用した授業実践                       
○ 評価方法の開発                   
○ 他教科指導や学級経営の視点を取り入れた言語活動のカリキュラム作成 
イ 場づくりの工夫
○ 活動形態の工夫
○ 伝え合う必然性のある活動場面の設定
○ 相手意識をもって反応することができるような手立ての工夫
ウ 教師の指導力向上のための取組
○ グループ研や全校研による授業研究会 
○ 先進校の視察,各種研究会・研修会への参加と研修報告会による情報共有
○ 講師招聘による校内研修会の実施
 
⑥ 研究組織

 

 


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