芝生化

運動場芝生化大作戦 
 

 本校では平成20年2学期に吉野ヶ里町議会で「校庭の芝生化の是非について」取り上げられたのをきっかけにして、いわゆる「鳥取方式」による運動場の全面芝生化の計画が着々と進められています。
 平成21年度の運動会は芝生の上で行うことを目標に、町、PTA、町内の各団体の協力の下に芝生化大作戦が進行中です。

 

これまでの経緯

平成20年12月2日 運動場の芝生化取組のテレビ報道(TV朝日報道ステーション)がなされる。
平成20年12月16日 吉野ヶ里町12月町議会の一般質問2日目に、小中学校の校庭を芝生化することの是非について教育長、学校教育課課長に質問がある。
平成21年1月19日~20日 学校教育課、小学校の代表3名が鳥取市(NPOグリーンスポーツ鳥取)への視察を行う。(鳥取大学附属小中学校・市立公園・市内幼稚園・河川敷)
平成21年3月 「チュウブ緑地℡0858-52-2158」と芝生購入の協議を行う。
平成21年4月24日・5月19日 校庭芝生化打合せ会2回(町教委・両小学校)

 

 

(1)芝生化計画 平成21年4月~6月 芝生化の計画が始まり、芝生を植えた6月20日まで。
(2)植 栽~運動会 平成21年6月~9月 芝生を植えた6月20日から9月27日運動会まで。
(3)運動会後 平成21年10月~平成22年3月 運動会後から平成21年度末まで。

 

 


 初めての取り組みで、専門家もいなくて、暗中模索の半年間でした。従って、三田川小学校で行った方法が最善だったかどうかはよく分かりません。

芝生穴掘り
 芝生を植えるための穴をどう掘るかが、最初の悩みでした。50cm間隔で、7000平方メートルの運動場に植えるので、苗は27000苗購入することになっていました。初めは、大型耕耘機で運動場全体を深さ7cmくらいで耕す計画を立てていました。しかし、植えた後で、散水したときにぬかるんで運動場に子ども達が入れないと考えました。また、試し掘りをしてみたら運動場が思った以上に固く、耕耘機で耕すことが容易ではないことが判明しました。
 そこで、人海戦術で縦横5cm深さ5cmの穴を2万ヶ所掘ることに決定しました。6月14日(日)から自衛隊ボランティア曹友会、西九州大学の学生、近所の方々、本校PTA、学校職員、教育委員会などたくさんの方々に協力して頂き、6月18日(木)までかかって約2万ヶ所掘ることができました。その5日間は雨も降らず晴天が続き、猛暑の中での作業でした。掘る道具についても、移植ごてでは地面が固く掘れないので、小さなクワを町社会教育課から貸して頂いたりして掘ることができました。
 その苦労した準備のおかげで、植栽当日は、11時から始めて30分でほとんどの苗を植えることができました。

芝生散水
 芝生を植えた当日から直面した問題が散水のことでした。植栽の頃の6月下旬は気温が30度を超えて、真夏の状態でした。雨が降らなければ、毎日たっぷりと水をやる必要がありました。計画では、以前からプールに使う井戸水があったので、それをスプリンクラー1台とノズル1本を付け替えたりしながら散水をすることになっていました。しかし実際にやってみると、それだけではまくのに6時間ちかくかかることが分かり、何とかしないといけない、それもこの1週間で解決策を考えなければいけない状況になりました。学校と教育委員会と業者が集まり、様々な案を考えました。
 ①スプリンクラーを運動場に6ヶ所くらいに常設する。
 ②消防のポンプでプールの水をくみ上げて、ノズルでまく。
 ③イチゴのハウスでの散水に使う、穴あきホースを運動場に6本くらい敷いて、散水する。等の案を考え   ました。
 ①は井戸の水圧が足りない。
 ②はポンプの音がやかましくて近隣の迷惑になる。
 ③はコストがかかりすぎる。等が障害になりました。
 そこで最後に残った方法が現在行っている、運動場南側とプールの2ヶ所からホースを繋ぎ、2台のスプリンクラーを30分ずつおきに移動して水をまくやり方です。その方法に決めて、現在の9月下旬まで水まきを続けてきました。
 夏になって、雨が降らないときは毎日水をまく必要があったので、PTA、おやじの会、老人クラブにも協力していただき土曜日、日曜日に水をまいて頂きました。学校は月曜日から金曜日を担当しました。夏の1ヶ月半、雨が降らない日は必ず水をまきました。本当に学校職員だけではできなかったと思います。ありがたい協力でした。そのおかげで、9月の初めには見事に運動場いっぱいに緑の芝生が広がりました。
 夏場は相当の分量の水を毎日まきますので、水道水では水道代金が高額になります。やはり井戸水か川の水を使用するように工夫しないといけないと思います。
 7月8月は、1ヶ所につき最低30分は水をまく必要がありました。
 9月は、1日おきに1ヶ所当たり20分程度まきました。9月はホースを運動場に出しっぱなしに出来ないこともあって、散水ノズルでまきました。
 10月は9日に冬芝の種まきをしましたが、やはり雨が降らなければ1週間に2回程度は水まきを行いました。
 11月頃からは水やりは行っていません。日差しも強くないし、雨が1週間おきに定期的に降りましたので、3月の現在まで、水やりは行っていません。

散水の量
 芝生化成功の鍵の一つが、水の料金です。本校では幸いに井戸があり、プールの水はこの井戸水を使っていたので、水道料金が発生しないという幸運に恵まれていました。従って、広い面積を芝生化する場合は水の使用料金が発生しないように、井戸水を使うとか川の水を使う工夫が必要になります。
 時々、水はどのくらいの量をまかれていますかというメールでの質問を受けます。本校の実績では、夏場、2時間程度を 6000平方メートルに1日40トンの水をまいています。 1平方メートル当たり、1日6~7リットルになります。他の実践されているところでは、1平方メートル当たり、1日4~5リットルという情報も聞いています。本校は、少したっぷりまいていることになります。

雑草取り
 雑草は7月になり肥料をまいたこともあり、いきよいよく茂ってきた。鳥取方式の芝生のホームページ等を読むと、雑草取りは不必要と書いてありました。しかし、雑草のあまりの成長にびっくりして毎日、手押し一輪車に2、3杯は抜いていました。しかし、お盆前頃になると芝生のランナーが伸びてきて、雑草を抜くと芝生まで取れてしまうようになってきました。
 そこで、お盆頃からは雑草は抜かないように全員で申し合わせをしました。その後、9月になりましたが雑草は抜かないにもかかわらず、目立たないようになってきました。10月頃になると、雑草はほとんどなくなり、芝生のみになりました。

芝生化してよかったこと
 芝生化に取り組み始めて1年が経ちました。芝生の上での運動会を目指して取り組み始めましたが、新型インフルエンザ流行にもかかわらず芝生の上での運動会が本当に実現しました。それまでの運動場での練習等で芝生は幾分痛んではいましたが、子どもたちは芝生の上で元気に伸び伸びと走ったり、集団演技を行ったりして保護者や地域の方々や私たち教員に感動を与えてくれた素晴らしい運動会になりました。
 芝生化してよかったことは、
①子どもたちの情操面へのよい影響だと考えます。
 休み時間に裸足で元気に走り回ったり、ボール投げをしたりする姿をよく見かけます。上学年の作文には「芝生の上で寝っ転がったら気持ちがよかった。」とか「芝生の上の空気は何だかさわやかだった。」などの気持ちが書かれています。運動会でも伸び伸び走る子どもたちの姿が目に焼き付いています。
②次に、環境的に快適になりました。
 特に夏場は運動場からの熱風もなくなりました。また、砂ぼこりも全くたたなくなりました。また、運動場の緑がとても目に優しく映ります。
③運動場での怪我も減りました。
 砂地だった平成20年度と比較すると、児童の怪我は、3分の2になりました。少し心配されていた草によるアレルギーや虫まけ等もなにもありませんでした。
 従って、教育上不都合なことは全くありません。運動会の白線も芝生用の石灰がありますので、全く問題ありません。中学校では、走る競技会等では問題があるかもしれません。小学校ではまず、問題は起きません。社会体育の少年野球では少し不都合があるかもしれません。また、地域の社会体育が毎日、運動場を使用する場合は、問題があるかもしれません。芝生がはげてしまうかもしれません。
 芝生の管理では、1年目の真夏の水の管理が大切です。7月、8月の水やりをしっかりやることが成功の秘訣だと思います。その管理の部分では、1年目は大変かもしれません。しかし、芝生が次第に育ってくるのを目の前にすると、苦労も吹っ飛んでしまいます。この夏場を乗り切ると、9月には緑の芝生が運動場一面に広がります。これまでの苦労が報われます。

芝生の管理について(三田川小で行ったこと)
6月中旬 芝生の植栽
6月中旬から8月末 雨が降らなければ、必ず毎日たっぷり散水する
6月下旬から8月末 肥料を2週間に1回
7月下旬から8月末 芝刈りを1週間に1回程度
9月、10月 散水は、1週間に2、3回程度  肥料は1ヶ月に1回  芝刈りは1ヶ月に1、2回程度
10月中旬 日中の最高気温が25度を切るようになると、冬芝の種まき
11月から 散水も施肥も芝刈りも原則なし
平成21年度 校長 西博司

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