R05校内研究計画と実際

令和5年度 校内研究

[研究の実際]

その1

『学び合い』アンケート結果 R5.6.15実施 3年生59名回答

 

[とても良かった・良かったの理由]

・先に進んでいるクラスの人から教えてもらえた。
・他のクラスの意見(多くの考え)も聞くことができる。
・習った内容の復習ができる。
・前時で納得できていなかった所を改めて振り返って理解できた。
・習ってない内容の予習ができる。
・学び合いをやったことない人とできる。
・騒がしかったが、その声がすべて課題についてだったのですごいと思った。
・集中できる。
・関わる人数や広がりが盛んになる。
・異教科の説明もすることができて、一石二鳥。
・別のクラスでその教科が得意な人に質問できる。
・片方が進んでいるからこその『学び合い』だったので、より学ぶことができた。
・自分のクラスだけじゃなく、他のクラスの課題も気にして動きが良くなっていった。
・普段教えられている人が、教えることができていた。
・説明をして理解してもらえることが嬉しい。(一度している内容だから自信をもって教えられる)
・他のクラスに、とても分かりやすい説明をしている人がいた。

 

[あまり良くなかった・良くなかったの理由]

・1教科に集中できず、学びの深まりがあまりできていない人もいたり、自分の課題が終わっていない人もいるところ。
・別の教科を教えることはいいけど、自分のやる課題がわからないままになってしまう。
・全員達成が難しい。時間が足りない。
・余計なおしゃべりが増える。
・人が多くなって、密集して動きづらい。
・課題が2倍になり、負担が大きい。説明まで間に合わない。
・頭がゴチャゴチャになってしまう。
・どちらか先に進んでいる場合だと、予習・復習になるが、どちらも初めての内容だと、学び合いは難しい。
・自分が学んだことを忘れてしまう。
・なぜ理科なのに数学をしないといけないか。

 

 

その2校内研究会 職員アンケートのまとめ

2023.6.14

(1)『学び合い』について、今回参考になったこと

・分からないことを、分からないと言えている。

・「何でこうなるの?」と質問しやすい雰囲気がある。

・男女仲良く学び合えていて、授業が楽しそう。

・ワークシートの作り方。レイアウト。

・一斉授業で、自分の思考を働かせ聞くことができる生徒は一部、もしくは皆無の中で、主体的に学ぼうとしている『学び合い』の力、生徒の力を感じることができた。

・導入とふりかえりでの語り。

・先生に聞きに行くではなく、生徒同士で解決するような声かけやワークシート、ホワイトボードの使い方。

・異教科での学び合い実施の可能性。異教科合同は新鮮で良かった。意欲的に活動できている。

・教師の教えなさ加減。先生が話し過ぎないこと

・生徒を信用して任せていいこと。

・サインの枠があることで生徒の活発な動きがあった。

・学び合いをする中で残り時間に対しての生徒たちの動き方の提示。

・既習事項をプリントに載せることで説明の省略。

・単元計画、評価計画が重要だとあらためて思った。

・参観の視点を具体的に示してあったので、授業参観と授業研究会のつながりがあり、実りのある研修になった。

・説明させることの大切さ。

・課題設定の仕方。

  •  

(2)『学び合い』で疑問に思ったこと

・学力の定着を何で判断するのか。

→逆に一斉講義型授業ではどのようにして学力の定着を図っているかということに振り返りましょう。意外にも『学び合い』も、一斉講義型授業も同じで、授業中の見取り、単元テスト等で学力の定着を図ります。

 

・説明することができず、または説明をせず、人から聞くだけ、教えてもらって書いているだけの生徒の学びをどのように確認するのか。

→この質問も一斉講義型授業ではどのようにして確認していますか。一斉講義型授業では、説明すること、教えてもらうことすらできない、していない子がいます。仮に一斉授業でその子たちを見取り、指示指導するのは難しいものです。学力低位の子どもやかかわりが苦手という子どもたちへの日頃からのファシリテーを行うこと、上位の子を動かすことです。

 

・特別支援が必要な生徒のゴールはどこか。

→一般的には、その子の学力を把握し、どのような進路保障をするかによってそのゴールは異なります。ただい大切なことは社会にでて、学校と同じ支援を受け続けることは困難です。となるとコミュニケーションの力をつけること、目標の上級学校等への合格できる学力をつけることとなります。『学び合い』でしかできません。一斉講義型では困難でしょうし、取り出しや個別で学力は向上しても、それはその手立てが個別にありその生徒は受け身であることが事実として残ります。

 

・苦手意識のある生徒と上位層の学びをどうつなげるか。

→先生がファシリテーターとなり呼ぶことです。低位の生徒への説明の仕方、教え方を上位層に学ばせることが大切です。

 

・学び合いが活発になる学習課題の設定について

→『学び合い』が活発になるというより、一斉講義型でも同じ事です。

 

・1年生に『学び合い』を促す、一歩進めるために必要なこと。

→先生はこうあるべきだ、こう言ったんだからするのが当たり前だという考えが先生にあれば、一歩前進は半歩、または後退します。先生の願いや集団としての伸びることの大切さを語っていますか。つまりガイダンスです。

 

・すべての授業で『学び合い』をされているのか。

→全教科です。

 

・異教科で『学び合い』をすることは疑問だらけでしたが、協議の中で解決できた。

→(^^)

 

・前に答えを貼ってあるが、今回の授業では答えを見に来る生徒が少ないように感じたので、生徒の中で間違いがそのまま広がっていないか心配に思った。

→貼るだけではいけません。なぜ貼っているのか、考えもしないで見ることの愚かさは語ることが大切です。

 

・全員達成できなかった時の、学び直しや自分ができていないことなどのメタ認知が低い生徒のフォローなど、指導者が教えるような場合はあるのか、ないのか、必要なのか、不必要なのかどうかと思った。

→これも集団と個の見取りが鍵です。現段階での『学び合い』で必要と思えば短期的、またはその学習内容で教えて良いでしょう。ただしそれが日常化すると依存心が膨らみます。依存心が膨らむと、生徒は教えてくれないことに対する不満を持ったり、考えずに教えて欲しいと言ってきたりします。となると主体性や深い学びはどこへ行くのでしょう。

 

・他の子に教える生徒もいれば、なかなか動かない生徒、他の生徒に教えに行かない生徒がいること。

→動かない生徒、教えに行かない生徒に、先生はどうかかわっていますか。つまり先生のファシリテートです。

  •  

(3)『学び合い』を日頃していての悩み

・振り返りがうまくできない。

→「振り返りができない」は先生の時間配分のミスです。しっかり時間を守り振り返りを行うことがです。

 

・国語の『学び合い』が分からない。

→ふだんの一斉講義型授業で先生が指示発問することをワークシートに書き出し、「やってみて」です。

 

・保健体育の授業での『学び合い』の仕方を検討中。

→そもそもが『学び合い』です。価値付けしましょう。

 

・技能教科において、技能の差があるので得意な生徒とそうでない生徒の関わりを考えながの実施。

→実技では、上手な人の手さばきをよく見たり、うまく説明できるこつをまとめさせてみたりすることです。実技以外の学習は意外と他教科より『学び合い』はしやすいでしょう。

 

・学力の定義。

→学力とは何かを考えるようになったことがすごいと思います。

 

・学力向上。

・1年生に『学び合い』をどう浸透させていくか。

 

・学びが楽しいと感じ、学ぶ意欲を生涯にわたって継続させるには、どうしたらよいか。(授業形態、内容、教材、声かけ、評価)

→「なぜ」と思うことの楽しさ、そのなぜを仲間とともに解決することの楽しさ、豊かさを語ってください。

 

・説明の時間が長くなって、生徒の活動を途中で区切っていること。

・まだまだ、教えすぎているなと考えさせられた。

・話すぎていること。「教えたい」が勝っていること。知識が定着売るか不安で、子どもたちを信用できていないこと。が反省点として、考えさせられた。

・まだ、全員が課題達成に向けて動けてないので動かないといけなくなるように手立てをとれるようになりたい。

  •  

(4)今後の校内研究について要望

  • 『学び合い』Lv1の入門として何から初めていいのか。
  • →セオリー通りやってみることです。
  •  
  • ・観察する生徒をある程度しぼって研究会を実施できたら良いと思う。
  • ・東与賀中全体で、『学び合い』の心得などのルールなどを共有できると、『学び合い』に新しく挑戦する先生や生徒も迷わずに取り組めるように思う。
  • →例えばどのようなルールが必要なのでしょう。私は『学び合い』にルールは必要ないと思っています。例えば、『学び合い』が進化し、反転授業レベルまで達成していると、休み時間から対話がはじまります。その時に授業はじめの「気をつけ」は必要ですか。私は、休み時間から学びに入っている子どもたちの思考をストップさせることはしませんでしたし、授業の終わりも「気をつけ、ありがとうございました。」はしませんでした。「次の授業に支障がない限りやってていいよ。」です。
  • けじめや礼儀作法が重要だとすれば、それは別な場面で指導し定着させることを考えましょう。
  • さて、どんなルールがあったほうが良いと思われるのでしょう。
  •  
  • ・今回のような新しい取り組み。
  • ・授業を提供して下さる方へのリスペクトの気持ちをもって参観できている東与賀中が素晴らしいと感じています。東与賀中学校の素晴らしい雰囲気に学んで授業する力を高めていきたいと思います。

 

その3 11月19日(日)『学び合い』公開授業のまとめ

 

この日お越しいただいた皆さまの感想等は、本校学校通信の[よかスポ]にすべて記載しております。

 

校長徒然R05_東与賀スポーツ公開授業カラーA3

 

 

 

その4 公開授業に向けて明らかにしたこと

 

『学び合い』 授業振り返り (3年英語)

 

  1. 『学び合い』をさらにレベルアップするために、頑張りたいことは?

・仲が良い人に教えに行くんじゃなくて、クラス全体を見渡して困っている人を探して動く。

・自分も誰かに教えたり説明できるようになりたいから、できるだけ予習をしたい。

・友達に聞いても分からないときは先生に助けを求める。納得できたら同じ説明を友達にもしたい。

・相手に説明することで、自分の理解ももっと深まったらレベルアップと言えると思う。

・予習をしてきて、できるだけ早く教えに行けるようにしたい。

・男女の壁をつくらないために、まずは自分から男子にも勇気を出して聞きにいきたい。

・まずは自分がしっかり理解すること。相手にも、正しく正確に教えられる人になりたい。

・いつも聞いてばかりだけど、自分が理解するだけではなくて、自分の方法で誰かに説明できるようになりたい。

・積極的に関りにいくこと。男女関係なく、自分から声をかけにいこうと思う。

・プリントが終わっていない人に教えに行くだけが『学び合い』ではなくて、その周りで課題が終わった人同士でもう一度確認したり、納得できるまで話し合うのもいいと思う。

・みんなが本当に理解できる説明をしたい。いろんな人と関わり、納得のいく説明ができるようになりたい。

・4つのグループの境目がなくなったらすごいと思う。つながりを意識して動いていく。

・予習と復習を当たり前にする。予習してきてすごいね!みたいなのをなくしたい。

・説明は日本語でするけど、リアクションは英語でしたり、『学び合い』の中でも英語を話せるときは話せたらいいなと思う。

・自分が説明した相手が本当に理解できているか見極めて、説明していきたい。

 

  1. U4から『学び合い』をさらに意識して、クラスにどんな変化を感じた?

・「分からないから教えて!」と自分から聞きに来てくれる人が増えたと思う。

・説明する中で、「これは〇〇がこういうふうに言ってたよ!」とか、その場にいない人の話が聞こえてくるようになった。つながりが増えた証拠だと思う。

・課題のめあてが「~を説明できる」に変わったので、どこを中心に説明すればよいかわかりやすくなった。

・「分からない人俺のところに来て~!」と自分からみんなを集めようとしている人がいてすごい。自分はそんなふうにはできないけど、自分にできる方法でどんどん説明していきたい。

・動く人、説明する人が増えて色んな人の説明を自分も聞くようになった。

・今まで自分が教えてた友達が、自分よりも早く課題を終わらせ今度は自分に教えるようになった。少し悔しいし焦るけど、負けないように頑張ろうと思う。

・数学みたいに男女の壁が英語でもなくなってきた。

・安藤先生に聞きに行く人がすごく減ったと思う。みんなが説明を頑張ってるからだと思う。

 

  1. 英語『学び合い』における、自分やクラスの課題は?

・仲の良い人にだけ教えて、そこから先の広がりが足りないときがある。

・「やってる風」みたいな人もまだいる。難しくてあきらめてしまう前に、助けにいきたい。

・「私なんかが教えに行っていいのかな、、」と思ってしまうときがある。本当は教えてもらったことを誰かに伝えたい。そういうふうに思って動けない人もいると思う。

・最初にかたまるグループが同じだからその後の動き方も毎回似てしまう。

・誰かがもう説明してるから自分が行く必要ないかな、と思うことがある。他にもできることを探す。

・予習が大事!とみんな言う割には、本当に予習してくる人が数人しかいない。

 

 

『学び合い』 授業のふり返り (3年数学)

Q 今の『学び合い』をさらにレベルアップするために頑張りたいことは?

・たくさんの説明をきいて、良いなと思ったものを取り入れていくこと

・家で予習を全員があたり前にしていくこと

・グループで固まっているところに話しかけていきたい

・説明する人を手伝うこと

・終わったら広める意識をもつこと

・聞き上手になる

・家で予習して、授業で説明できるようにする

・15分→15分→10分を意識すること

・質問をしながら、一緒に説明すること

・復習もかねて、積極的に教えること

・理解して解く面白さを教えることでやる気を起こしたい

・『学び合い』をする前に、不安をつぶしておくこと

・全員で達成するという気持ちをもつこと

・男女の関わりを、もっともっともっともっと増やしていくこと

・インプット、アウトプットを大事にする

・休み時間に問題を解いたり、授業が始まる前に聞きたいことを決めたりしておく

・相手の立場に立って説明をする

・学びを深めるために説明を聞くだけではなく、質問すること

・自分で問題を作って解いてもらう

 

 

『学び合い』 授業のふり返り (3年数学)

このクラス(学年)の課題は?

・同じグループで固まりすぎている

・知りたい意欲が以前より高まったが、動こうとする勇気がまだまだなところ

・予習が足りないところ

・異性の説明にビビっている。同じ人しか説明していない

・協力できているけど、できない人同士でグループをつくっているところ

・課題は終わるけれど、説明まで手が回っていないところ(説明しに行くのが遅い)

・広がりが遅いところ

 

番外編

・分からない問題を、いつでもだれにでも聞きに行くことが大事

・授業のスタートを早く、予習をしていればしてるほど課題が終わると思った

・教科書はあらかじめ目を通しておく

・5つのかけるを意識する

・全員少しでも予習してきたら、すごくいい学び合いになると思う

・難しい課題でも、最後まで諦めずに粘り強く取り組むことが大事だと思う

・学校での予習ではなく、家でしっかり予習をしてきたい

 

 

『学び合い』の効果を感じた場面(教師の視点から)

東与賀中学校

 

・一斉授業では、寝ている生徒が、『学び合い』では自分から大きな声で「え、なんでそうなるの?」と友達に積極的に尋ね、分かろうとする姿が見られた。『学び合い』に可能性を感じた瞬間だった。

・自分たちのグループでは関われるが、それ以外の関わりをもとうとしない女子3人組。そのグループに声をかける子が一人(男子)そしてまた一人(男子)。そしてそれを遠くでそっと見守る子(女子)。クラスに自分たちを気にしてくれる人がいる安心感。いつも以上に温かい雰囲気に包まれた『学び合い』の授業であった。

・一斉授業では、ぶつぶつ不満を言っていた生徒が『学び合い』の活動を楽しみにしているようで、次の『学び合い』はいつですかと聞いてくるようになった。

・町に小学校1校、中学校1校で、小学校のメンバーがそのまま中学校に入学する。そのため、小学校での人間関係が固定化されており、決まったグループでの関わりがほとんどであった。しかし、『学び合い』を繰り返ししていく中で、仲良しグループだけではなく、普段話さない人たちとも会話が生まれるようになってきた。

・なかなか周りに馴染めていないような生徒が、『学び合い』の授業を重ねるごとに、声を発することが多くなってきた。授業も参加せずに早退してしまうことがあったが、最近は参加するようになった。

・『学び合い』において、一人でじっと座っている場面が多かった生徒が、だんだん級友との交流も生まれ、授業中も級友と関わる場面が増えた。

・特別支援学級の生徒に教えた生徒が「ありがとう」と言っていた。その理由を聞いたところ「教える立場になったことで、解答を再度確かめたり、他の解き方を確かめたりすることができ、自分のやり方に固執せず、他のいい方法に気づくことができた。だから、そのきっかけをくれたことに感謝しています」ということだった。それを聞いてとても心が温かくなった。

・特別支援学級の生徒で、3年生の1学期までは、教室の席を窓側に希望していたため、席を固定していた。教室を抜けやすいように本人と話して配慮した措置であった。9月に入り、初めて「私もみんなと同じように席替えをしてください」と伝えてきた。学級には自分の居場所があること、いつ抜けても大丈夫という安心感、みんなとのつながりを感じたのだろうと思う。

 

**********

2023.5.12

1 研究主題

確かな学力の育成に向けた授業づくりの研究 ~『学び合い』の視点を取り入れて~

 

2 主題設定理由

(1) 今日的教育課題から

昨今の社会情勢は目まぐるしい変化を遂げており、コロナの影響やAIの急速な発展、また多様性を認める力が問われるなど、子どもたちには多種多様な力が求められるようになってきている。このような中、学習指導要領では、「知識の理解の質を更に高め、確かな学力を育成すること」、「一人一人が持続可能な社会の担い手」となることを総則の中で掲げている。本校の研究主題「確かな学力の育成に向けた授業づくり~『学び合い』の視点を取り入れて~」は、学習指導要領を基にすべての生徒の確かな学力を育成するとともに、子どもたちの関わりを意図的に増やすことで、子どもたち同士が協働して課題を解決することの楽しさを実感したり、互いを認め合いこれまで以上により良い人間関係を築いたりすることにつながっていく。これらを意識した授業づくりが、これからの社会の変化に対応できる生徒を育成するものだと考える。

 

(2) 生徒の実態から

本校の生徒は、素直な生徒が多く、学習に真面目に取り組む生徒も多い。その反面、自己表現が苦手なために、自分の考えを言語化したり人前で発表したりする活動を苦手とする生徒が多い。県学習状況調査の結果からも、各教科の課題として、①基礎・基本の徹底、②読み取る力・記述する力・説明する力の養成が挙げられた。今後は、すべての生徒が授業に参加し、主体的に学ぶことができるように、『学び合い』の視点を授業に意識的に取り入れ、基礎的な知識を身に付けさせた上で、「書く」活動や「話し合う」活動などを取り入れた、主体的・対話的で深い学びの授業実践を行うことが必要だと考えられる。

また、小中一貫校に準ずるような、小学校から引き続き9年間、変化の少ない集団の中で人間関係が固定化しがちであり、小学校からの人間関係の改善がなかなか難しい状況である。『学び合い』を柱とした授業改善を進めることで、様々な人と関わり、折り合いをつけていく中で新たな人間関係の構築と集団形成を行いたいと考えている。

 

(3) 学校教育目標から

本校は学校教育目標として「『凜』とした元気・感動・温もりのある学校~夢実現に挑戦し努力する生徒の育成~」を設定している。教育目標を具現化するために、各教科で基礎・基本的な知識・技能を確実に習得させられるよう、教師が指導の手立てを工夫していくことが不可欠であると考えている。さらに、基礎・基本的な知識・技能の習得をもとに、思考力、判断力、表現力を教科・全領域で発揮していくことで、夢に向かって活動する生徒の育成を行いたいと考えている。

 

(4) これまでの研究経過から

令和2、3年度は学力向上とSDGsの周知徹底を校内研究の柱に置き、教科横断的な視点での一人1回の提案授業を通して、問題解決的な学習に向けた5つの視点に基づいた授業づくりや、教科指導や体験活動の中でのSDGsの取り組みについての研究を行った。特に、SDGsの視点を取り入れた授業づくりとして、令和3、4年度は、理科、家庭科、社会科において佐賀大学の学生の協力を得てワークショップ形式の授業実践を行った。また、令和4年度からは、『学び合い』の授業手法として取り入れた研修も行った。

 

3 研究の組織

 

(1)研究推進委員会(校長、教頭、教務、研究主任、研究推進委員)

・全体計画、具体的な取り組みを立案する。

 

(2)全体研究会

・一人1回授業の授業研究会を行う。

・授業づくりに関する共通理解を行う『学び合い』についての研修

・単元計画表を作成する。(教科を超えて共通実践する事項の確認。)

・実践された授業について、『学び合い』の視点で生徒の動きに重点を置いて協議を行い、主体的、対話的、深い学びを目指した授業づくりにつなげる。

・学年部会、教科部会で協議したことについて、全体会で共通理解をはかる。

・SDGsについての研修を行う。

(3)学年部会

・学習規律の徹底、学習(テスト)計画表の取り組みを行う。

・諸検査(QU等)の分析とその後についての協議、分析結果を反映した取り組みの実施。

・教材(学活、道徳)、指導案等のデータベース化を行う。

・SDGsを関連付けて既存の総合的な学習のプログラムの計画・実施を行う。

 

(4)教科部会

・単元計画の作成とめあて、評価規準の作成、『学び合い』評価・評定の方法等について協議する。

・学習状況調査等の各教科の分析を行う。

・研究授業の指導案の立案、作成を協議する。

・授業における教師の手立てについて協議する。

・プリント、テスト、指導案等のデータベース化を行う。

 

4 研究目標

学習指導の共有化、各教科等の指導と評価の工夫、学習環境の整備、各種検査の活用、提案授業の準備と研究会の実施によって、確かな学力の育成に向けた授業づくりを行う。

一人も取り残さない主体的な学びの実現に向けて『学び合い』を柱とした授業展開を行い、確かな学力の育成に向けた授業改善を行う。

 

5 研究仮説

「単元計画」を作成し、「めあて」と「課題」を明確に示すことで、見通しをもって粘り強く学習に取り組むことができる。また、『学び合い』の視点に基づいて共通実践を徹底することで、学習指導と学習評価の一体化が図られ、生徒の学力向上につながる。

  • 生徒一人一人が考えたことを「書く」活動の時間を確保し、自分の言葉で表現、発信するようなアウトプットの場面を重視することで、対話を通して、他との関わりの中で学び、修正したり、新たな考えを作り出したりして深い学びにすることができる。
  • 『学び合い』を柱とした授業展開を行うことで、子どもたちが協働して課題解決に向けて対話的な活動を行うことができる。さらに、様々な人と関わる中で、折り合いをつけながら課題解決をする経験をすることで、学力向上だけでなく、コミュニケーション力といった他と関わる力を育成することができ、それが、より良い集団形成と学級経営の改善につながる。
  •  

6 年間計画(省略)

令和5年度校内研究年間計画
内容 備考 行事予定
・令和5年度の研究構想と年間計画(案)
・令和5年度評価評定について
・研究目標や取り組みの確認
・『学び合い』についての確認
・各教科の共通理解
・令和5年度の評価評定の決定
・提案授業担当の希望調査
・教科部会
(評価の仕方等の協議)
・全国学力学習状況調査(3年)
・県学習状況調査(2年)(4/18)
・令和5年度の研究構想と年間計画
・提案授業について(担当決定)
・『学び合い』について学習会・研修会①
・教科部会
・各教科の共通理解・共通実践等
・各教科の年間計画・評価
・学力向上対策評価シート1回目提出
・Q-U1回目(5/23)
・授業実践・授業研究会① ・代表2名で授業公開を行う。
・授業研究会を実施し、グループでまとめたことを全体で共有する
・前期中間テスト 6/21~22
・一人1研の報告会A
 代表者以外の公開授業週間Aを6/15~7/11に設定
・『学び合い」授業づくりについて学習会・研修会②
・代表者以外で公開授業を行い、放課後にミニ研究会を行った報告を行う。
・教科+学年担当で参観
 

・第1回QーUの分析

・『学び合い』についての研修会
・SDGsについての研修会

・教育心理センター、教育センター、教育事務所等に講師の問い合わせ

・講師を招聘し、研修会を行う

・教科部会
学習状況調査分析、評価評定について

・『学び合い」授業づくりについて学習会・研修会③
・教科部会

・前期期末テストと評価

・前期期末テスト 9/19~21
10

・授業実践・授業研究会②

・代表2名で授業公開を行う。
・授業研究会を実施し、グループでまとめたことを全体で共有する

・学力向上対策評価シート中間評価
11

・一人1研の報告会B
 代表者以外の公開授業週間Bを10/19~11/14に設定
・『学び合い」授業づくりについて学習会・研修会④

・代表者以外で公開授業を行い、放課後にミニ研究会を行った報告を行う。
・教科+学年担当で参観

・後期中間テスト 11/16~17
・学年末テスト 11/15~17
・Q-U2回目(11/21)
12

・第2回Q-U分析
・一人1研の報告会C(予備)
 代表者以外の公開授業週間Cを11/16~12/12に設定
・『学び合い」授業づくりについて学習会・研修会⑤
・SDGsワークショップ(社会・理科・技術・家庭)

・代表以外で公開授業を行い、放課後にミニ研究会を行った報告を行う。
・教科+学年担当で参観
・佐賀大学の学生によるワークショップ

・県学習状況調査
(11/30,12/1)
・授業実践・授業研究会③

 

・代表2名で授業公開を行う。
・授業研究会を実施し、グループでまとめたことを全体で共有する

・教科部会
(学習状況調査の分析、評価評定について)
・県学習状況調査分析の共有
・本年度の研究のまとめ
・次年度の展望

・今年度の校内研究に関連する取り組みについて、まとめを行う

・学年末テスト 2/14~16
 

 

・学力向上対策評価シート2回目提出

7 具体的な取り組み

(1)授業について

①単元計画を作成する。

・評価規準をもとに、毎時間ごとの学習課題を設定する。

②『学び合い』の意義を語る

・『学び合い』の3つの柱について教師が語る。

③「めあて」を分かりやすく提示する。

・めあてについては、「~をできるようになる。」「~について説明できる。」と明確に提示する。

④アウトプットの場面の設定をする。

・子どもが思考し、表現する活動の場面の設定を工夫する。

⑤表現活動までの指導の工夫

・結果(事実)と考察(考え)を整理し、自分の考えを表現できるようにするために、学習の流れが明確に分かるように学習活動やワークシートを工夫する。

⑥対話的な活動(ペア・グループ活動など)の時間を確保する。

(教師は、ファシリテーターとして子どもたちをつなぐ)

・生徒同士が交流し、考えを発展させるように促す。

・学んでいない生徒に対しての働きかけを工夫し、学び始めることができるように促す。

⑦時間の構造化を図る

・授業の流れを「見える化」して、子ども自身が見通しを立てて行動をコントロールしやすくするよう支援する。

⑧まとめ(ふりかえり)を行う。

・本時のふりかえりを行うとともに、授業の評価を行い、教師が本時の授業について語る。

 

(2)学習規律、学習環境

 ・立腰を徹底する。

 ・教室環境において、刺激量を調整する。(掲示物など)

○全校で共通した取り組みを考える。

・机の横には、原則、活動の邪魔になるようなものはかけさせない。(グループ活動のため。)

・教室の後ろの棚の上には、何も置かせない。(背面黒板の教科連絡を見やすくするため。)

・黒板には掲示物をつけない。(生徒が集中し、授業内容を黒板一杯に使えるようにする。)

・教材や学習道具の置き場所の工夫(学年で統一):場の構造化

 

(3)授業研究会

・『学び合い』の視点に基づいて授業参観をし、授業研究会で生徒の動きについてグループ協議をする。

 

(4)各種検査について

○学習状況調査の分析の活用

・各教科の県平均の比較の高い設問と低い設問を調べて、成果と課題を確認する。また、課題をもとに今後の取り組みを協議し、授業、課題の活用等についての共通理解を図る。

○QUの活用

・学年部会で、QU分析結果を見て、学級の様子や今後の取り組みを協議し、今後の学級、学年の取り組みに生かしていく。

 

(5)SDGs

・教科指導の中でSDGsを取り扱い、教科・領域の年間計画にSDGsを位置づけ、意識的に触れる。

・SL(Search for Life)タイム(総合的な学習)で、環境教育や平和学習と絡めてSDGsの周知徹底を行う。


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