三味線と長唄に親しもう その3
入力日
2022年2月9日
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「特別非常勤講師制度」という制度があります。これは、都道府県教育委員会に届け出て、教員免許状をもたない方を非常勤の講師に充てる制度です。優れた知識や技術を有する人材を幅広く学校教育に活用させてもらうことにより、学校教育の多様化への対応、学校教育の活性化などをねらいとしています。
多良小学校では、4年、5年、6年生の音楽科の授業で我が国の伝統的な音楽について学ぶ機会として、長唄演奏家・三味線方の杵屋五洲(きねや ごしゅう)先生を特別非常勤講師としてお招きして、授業をお願いしています。
2月9日(水)はその3回目(最終回)であり、6年1組の子どもたちが授業を受けました。学級の人数が44名なので、3時間目と4時間目に2つのグループに分けて実施しました。
最初に、三味線で演奏された「新曲浦島」(の一部)を聴いて、子どもたちは「どんな様子を表した音楽なのか」をイメージしながら聴きました。
最初のグループではあまり感じたことが出ませんでしたが、次のグループでは、「にぎやかなお祭りの様子」「戦っている様子」「競争している感じがする」など、いろいろなイメージを発表してくれました。
五洲先生のお話によると、冬の荒れた海、それも有明海とかではなく、北陸や東北の日本海側の荒れた海の打ち寄せる波の様子とのことでした。五洲先生の演奏を食い入るようにして見ている子どもたちの姿がいいなあと思いました。
そして、三味線という楽器と長唄という音楽についてのお話を聞きました。三味線はいろいろな生き物の恩恵でできていることを知りました。子どもたちは興味深そうに、身を乗り出して三味線を見ていました。
子どもたちは身を乗り出して、三味線を見ていました。興味津々です。
五洲先生のレクチャーとともに、日本の四季(春夏秋冬)を感じさせる長唄を三味線の演奏で聞かせてもらいました。
虫の音に秋を感じることや雪が降る音など実際は聞こえない音を感じ取る日本人ならではのすばらしい感性にも触れながら、演奏を聞かせてもらいました。演奏後に、「最も気に入った曲」を尋ねると、6年1組の最初のグループの子どもたちは冬がとても人気が高かったです。あとのグループの子どもたちは「春」「夏」「秋」「冬」のそれぞれに好きだという子どもがいて、興味深かったです。子どもたちの感性も様々ですね。
後半は、実際に長唄を歌うことに挑戦しました。歌うのは長唄「勧進帳」の最初の部分「これやこの 往くも帰るも別れては 知るも知らぬも 逢坂の山かくす」という部分です。
五洲先生が歌うのを一生懸命に聴いて、模倣しながら、歌っていきます。
野球部男子は「ナイス」でした。それにつられて、みんな難しいながらも、大きな声で歌うことができていました。
実際に歌ってみて「一つ一つの音が長い」「延ばしながら音が揺れている感じがする」「音楽の授業で普段歌うときの声の出し方や歌い方とは全然違う」など、いろいろな気付きを子どもたちは口にしていました。
最後に、長唄「多摩川」の一部を聞かせてもらいました。
6年生の子どもたちは三味線の演奏や長唄の声に圧倒されている感じでした。
この笑顔がすてきですね。
【授業後の感想】(抜粋)
〇 私は季節ごとに違う曲を聴いて、四季の様子がはっきり浮かんできました。
〇 五洲先生の三味線は手元の動きが速くて圧巻でした。
〇 日本のこのような文化をこれからの人たちに教えていきたいと思いました。
〇 三味線の音で自分が元気になった気がしました。
〇 三味線の演奏を聴いて、三本の糸しかないのに、こんないろいろな音が出せるんだなと知りました。
〇 長唄では、文字一つの延ばし方にも特徴があり、とても難しいと思った。
〇 五洲先生が唄われたときは、「すごいな!」「全然違うな!」と実感しました。
授業の後も、興味深そうに質問に来る子どもがいました。