校内研究

令和3年4月14日提案

令和3年5月6日確定

1 研究主題   多良小学校教育の質的改善

 

                         

2 主題設定の趣旨
 令和2年度(2020年度),小学校で新学習指導要領が全面実施となって1年が経過した。子供たちが「何をどのように学び,何ができるようになるか」といったような視点に立ち,新しい時代に求められる資質・能力を育むための教育活動に取り組み始めたのである。全ての教科・領域において「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」という3つの柱で整理された資質・能力を育成するために,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が求められている。
そのためには,まず教師自身が自らの「主体的・対話的で深い学び」を実現すること,そして,個々の教師が自らの授業や指導と向き合いながら,不断の見直しを図ることが不可欠であると考える。
このような中,令和元年度までの本校の校内研究を振り返ると,全員で共通の目標(ゴール)や仮説を設定し,その実現のために共通の手立てを実践し,年に数回の限られた提案授業においてその成果や課題について全体で協議するというスタイルであった。このような「仮説検証型」での校内研究において得られる成果もあったことと思うが,一方で個々の教師の日々の授業改善にはあまり結び付いていなかったのではないかという反省もある。例えば,「提案授業が終わると元の授業の進め方に戻ってしまい,以前となんら変わらない」「提案授業を行うことは勉強になるが,そのことと普段の授業がなかなか結び付いていなかった」「授業研究会では熱心に議論を交わしたが,次の日からの自分の授業に生かすことはあまりなかった」「一生懸命に研究紀要を作ったけど,なかなか活用されていない」といったような声はその最たるものであり,膨大な時間をかけて行ってきた校内研究が日常の実践につながっていなかったのではないかと推察する。また,本校の教師の年齢構成は,経験豊富なベテラン教師と新規採用から間もない若手の教師が多く,ミドル層が極めて少ない。当然,ベテラン教師と若手教師では解決すべき課題も目指す目標も大きく異なっていると考えられる。
そこで,真に価値のある校内研究をするため,本校では,令和2年度より,これまでの「仮説検証型」の校内研究から「課題解決型」の校内研究へと大きく転換を図った。それは,個々の教師がそれぞれに自らの「課題」を解決するために「実践」を行い,その営みを校内で「共有」していくという研究である。ベテラン教師も若手教師もそれぞれに自らの「課題」を解決していくために日々取り組んできた。「提案授業」といった非日常ではなく,普段の授業や取組を不断に見直し,その質の改善を図ってきた。「質的改善」とは,これまで取り組んできたことに対して,「それは何のために行っているのか」,「そのことで子供にどのような力が付くのか」「果たして,本当に力はついているか」といったような視点で見直しを図り,本当に意味のある取組となるようにしていくことである。また,課題解決のためには,教師自らが学ぶ意思や意欲をもち,自らを律しつつ,自己責任を果たしていく必要がある。つまり,新学習指導要領で求められている「主体的・対話的で深い学び」を,まずは教師自身が実践するという研究でもある。
以上のことを踏まえ,令和3年度の研究では,これまでの算数科に特化した研究にとどまらず,幅広い教科で研究に取り組んでいくこととする。教科ごとに授業の進め方等に異なる点があったとしても本質的な部分はどの教科も共通していることから,これまで通り,佐賀県教育委員会が示している「授業づくりのステップ1・2・3」の「めあて」「まとめ」「振り返り」「書く活動」「話し合う活動」に視点を置き,児童の知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力の育成を図るために授業の質的改善に取り組む。

 

3 研究の目標
 本校の「目指す子ども像」の確かな実現のため,それぞれの「課題」に主体的に取り組んでいく。

 

 目指す子ども像
「かしこく」…課題を「自分事」として捉え,他者と関わりながらよりよく解決を図ろうとする子ども
「やさしく」…感性が豊かであり,多様な価値を認め,感謝と思いやりの心を体現する子ども
「たくましく」…心身の健康を心がけ,元気で生き生きと活動し,粘り強く取り組む子ども

 

4 研究の内容
  取組1 授業の質的改善
  取組2 プロジェクトでの取組の質的改善

 

5 研究の方法

 

取組1 

「授業づくりのステップ1・2・3」の「めあて」「まとめ」「振り返り」「書く活動」「話し合う活動」に視点を置き,その質を向上させるために,自らの課題解決に日々取組を行う。その中で,各自,研究ペア(または小グループ)と年に4回の授業研究(ペア研)を行い,課題の解決状況について振り返りを行うとともに,新たな課題を発見し,さらに解決に向けて取り組む。年4回の授業研のうち,2回は連続して国語科の授業に取り組む。

(1)事前
① 「授業づくりのステップ1・2・3」をもとに,自らの「強み」と「課題」を洗い出す。
今年度は思考力・判断力・表現力に焦点化することから,特に「書く活動」「話し合う活動」を重点的に取り組む視点とし,「授業づくりのステップ1・2・3」Vol.2を参考にする。
② 自らの授業における課題の改善の手立てについて,研究ペアとともに考える。
③ 課題改善の手立てを踏まえた「授業構想シート」を作成する。

(2)本時
参観する研究ペアは,授業の妨げにならないように,「完全なる観察者」となって参観する。
また,学年に応じて,参観者が来る旨とその理由を児童に説明し,普段通りの態度で授業が行われるようにする。

(3)事後
① 授業者,観察者,児童は,授業後にその授業についての評価を行う。
② 評価シート(授業観察シート)に評価結果のデータを入力する。(ICT支援員への依頼可)
※評価結果のグラフから,明らかとなった3者の相違点などを話題にするとよい。
③ 評価結果のグラフなども参考にしながら,研究ペア(及び,授業を参観した管理職や指導教諭を交えて)で授業の振り返りを行い,記録をする。
④ 授業者は,振り返りを基に新たな課題を設定し,次回のペア研に向けて授業改善に努める。
※「研究のまとめ」は年間を通して作成していくようにする。(まとめの様式の共有)

 

評価シート(授業観察シート)の集計グラフの例

 

 

取組2

校務分掌の中で,各プロジェクトで自らが担当する取組などについて,取組方法などを工夫改善して,取組の質を向上させる。
(学校評価,人事評価の業績評価などと関連付けて取り組み,一元化を図る。)

 

取組内容
ア. 学力向上PJ
・学力向上における取組の充実(山崎,大石)
・校内研取組1のさらなる充実と取組2の質的改善(横山)
・読書の質と量の改善(井上,林)
・コミュニケーション能力の育成と外国語教育の充実(楠田,江口)
・望ましい学習習慣の確立(井上,岩永)
   
イ. かがやきPJ
・望ましい生活習慣の確立(小野原)
・望ましい食習慣の育成(太田,加田)
・児童の心身の成長を促す体育的行事の充実(田中)
・いじめの早期発見,早期対応と不登校の未然防止と解消(山口,小野原)
・交通安全を中心とした安全教育の充実(川浪)
・特別支援教育の充実(太田,小野原,武冨,坂口,松尾,野中)

 

ウ. ときめきPJ
・児童会の委員会活動の活性化(大石)
・人権意識を高めるための人権教育の充実(武冨)
・学級活動の充実(樋口)
・児童が主体的に取り組む無言掃除(貞方)

 

エ. 活性化推進
・校内環境美化(馬場,吉村)
・校務サーバーの有効活用,データの共有化(山田)
    

(1)事前
・児童の実態及び課題を教職員で考え,共通理解を図る。
・自らが取り組むことについて自己申告し,その取組で目指す児童の姿,工夫点や改善点,成果指標などを計画シートにまとめて明らかにする。

(2)中間の振り返り
・途中段階での進捗状況や取組の実現度などを互いに報告し合い,その後の取組に生かす。

(3)事後
・自ら取り組んだことの成果や課題,取り組んでみての気付きなどをレポートにまとめ,校内研究会(全体研)の場で互いに報告し合い,成果を共有する。
・令和3年度の振り返りを基に,令和4年度に目指すゴールや取り組む際の課題などを今年度中に明らかにする。

 

6 研究の組織

 

【取組1の組織】

☛ 管理職(校長,教頭),指導教諭については,フレキシブルに授業参観を行うとともに,授業研のペアの申し出に応じて,授業の振り返りに参加するものとする。

【取組2の組織】

☛ 取り組む内容は基本的に個人で設定しているが,必要に応じて,プロジェクト内での情報共有や相談を行うものとする。

 

令和3年度のペア研実施の結果

 

第1回のペア研の様子です。(一部抜粋)

2年 国語 横山先生

1年 国語 貞方先生

3年 国語 川浪先生

 

第3回のペア研の様子です。(一部抜粋)

3年 国語 川浪先生

2年 国語 横山先生

4年 国語 井上先生

6年 算数 田中先生

 

第5回のペア研の様子です。(一部抜粋)

4年 算数 井上先生

4年 社会 大石先生

6年 理科 田中先生

 

 

 

詳しくはこちらをご覧ください。

R3校内研究計画(多良小学校)(PDF)

 

 

R2年度の校内研究はこちら


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