開校記念日 校長講話(令和4年5月11日)
入力日
2022年5月11日
内容
本校は、藩校弘道館の流れをくみ、1876年(明治9年)佐賀変則中学校として開校し、いくらかの変遷を経て佐賀中学校となり佐賀県の教育をリードしてきました。そして、戦後新しい学校の制度となり、1949年(昭和24年)4月に佐賀中学校、佐賀成美高等女学校、佐賀高等女学校の3校が統合して、佐賀高等学校となりました。
しかし、佐賀高等学校は1学年1,000人の学校で大規模校であったことから、昭和36年には分離分割の検討がなされ、佐賀西高校、佐賀北高校、佐賀東高校の3校に分離することが決定し、1963年(昭和38年)4月に佐賀西高等学校第1回生が入学し、現在に至っています。今年度の1年生が第60回生に当たり、(明治9年以来)147年目となります。
開校記念日については、昭和24年5月10日に佐賀高等学校の開校記念式が行われたことから、5月10日が開校記念日となり、現在に受け継いでいます。
これまで、卒業生総数は約6万7千名を超えている学校で、佐賀西高校(全日制・定時制)だけでも、すでに卒業生は23,100人を超えており、県内はもちろん国内外で活躍されており、その人材は「栄城山脈」と称されています。皆さんが卒業して社会に出れば、いろんなところで先輩と出会ったり、お世話になったり、存在感を感じることになると思います。
校内のいたるところに、寄贈された絵画や書があり、また、校長室にも焼き物なども飾られています。
これらの写真を見ながら、西高の歴史を感じてほしいと思います。
〇下村康二先生(1950年鹿島生まれ)の絵画
〇福地秀鵬(本名 秀雄)先生の書
〇「鍛身養志」の額
幕末の名君佐賀鍋島藩第10代当主鍋島直正公の孫鍋島直映が大正6年(1917年)に佐賀中学校校長であった千住武次郎氏に送ったもの
昭和50年代第7代 釈 憲正 校長
「郷土の先覚者の遺訓に触れ、明日の時代に生きる人間育成を念じて 校是とする」
○進徳修業(徳に努めて業をおさむ)
・佐野常民(R4年度は生誕200年、日本赤十字社(博愛社M10設立)初代社長(M20)、佐賀7賢人)
・中国五経の一つ、易経「君子進徳修業、忠信所以進徳也」
「君子は徳に進めて業を修む、忠にして信なるは徳を進めるゆえんなり」にちなむ。
・生涯を通して豊かな思いやりのある優しい心を持ち、学問に精進し、たゆみなく自己の向上につとめる、という意味。
左:井上萬二 白磁
右:第13代今泉今右衛門 龍の赤絵
有田町の人間国宝
〇「追憶」1940年(昭和15年)3月、佐賀中学校卒業アルバム
(昨年の夏、卒業生のお孫様より寄贈)
1962年(昭和37年)北校舎完工の陶板(事務室前階段)
(現在の校舎は、1973年(昭和48年)から着工、1976年(昭和51年)100周年ごろ体育館、グランド竣工)
奉仕作業:ボランティアとして、田植えや稲刈りがされている
教練査閲:銃を持っての訓練がなされている
当時の野球部:ユニフォームにEIJOの文字
大正時代の佐賀中学校で活躍した、伊丹安廣さんの功績は職員室前の廊下に掲示しています。
主将として大正11年、佐賀中学校が全国大会に九州代表として出場するなど活躍されました。その後、早稲田大学に進学、捕手として活躍され、東京の六大学リーグ戦では首位打者に輝くなど大学でも実績を納められました。そして、甲子園大会の審判、早稲田大学野球部監督として活躍し、学生野球の発展に尽力されています。
本校野球部のユニフォームの「EIJO」も伊丹さんが発案されたもので、高校野球ではユニフォームに校名・校章・地名以外を記すのは禁止されていますが、伊丹さんの功績や関係者の方々の努力により「伝統」ということで特例的に認められています。現在、野球部以外でも皆さんの体操服胸元に「EIJO」を使っていますが、「栄城」という言葉をぜひ大事にしてください。
〇高田保馬先生の書
正門の記念碑
「故里の 山はなつかし 母の背に 昔ながめし 野火のもゆるも」と三日月町で生まれ育った思いが記されています。
本校の本校校歌の作詞者である高田保馬先生は,明治35年卒業生総代として、「不撓不屈の精神で学問の彼岸(悟りの境地)に到達せん」と述べられました。当時は300人余りの入学生のうち、卒業生はわずか100人余りという厳しさであり、三日月町から朝は霜を踏んで、夕方は星を見ながら往復20km、片道2時間の道のりを、本を片手に通学されたそうです。
校歌の1番に、通学の思い出
2番は、学校の歴史を踏まえたもの、
3番は、若者が高い理想をもって学業に励む姿、
4番は、国や世界のために生きていく決意。
皆さんは歌詞に込められた高田保馬さんの思いをかみしめ、校是である「質実剛健」、「鍛身養志」をしっかりと胸に刻み、佐賀西高校生として気概をもって頑張ってほしいと思います。
明治、大正、昭和、平成、令和と本校は受け継がれ、今に至っています。これまで多くの先輩方のつながりの中で、私たちがいるわけです。この学校の中で、勉強や部活動、学校行事などに励み、高い志を持って挑戦し、努力していくことが、また、新しい学校の歴史を創っていくことになります。
現在は予測不可能な未来社会となっています。高校生の今だからこそできるものに挑戦して多くの体験をしてほしいと思います。そして、将来は、日本や世界をリードする人材として、社会に貢献できる自律した人材として、活躍することを願っています。皆さんの更なる飛躍を祈念し、開校記念の日の話とします。
令和4年5月11日
佐賀西高等学校長 青木勝彦
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