卒業式、お祝いの言葉のご紹介
入力日
2021年3月1日
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山口祥義佐賀県知事 と 落合裕二佐賀県教育長よりお祝いの言葉を頂戴いたしましたのでご紹介させていただきます。
きっと忘れない
「あの時は大変だった」と、いつか振り返る日が来るでしょう。
学校に行けなくなった日のこと。
最後の大会や発表会が中止になった日のこと。
この先どうしようかと考え続けた日のこと。
そんな時、思い出してほしい。支え合った友人のこと。
誰もいない教室で、また会える日を待ち続けていた先生たちのこと。
この未曽有の出来事に、今、何ができるだろうかと、奔走した大人たちがいたことも。
コロナ禍にも精一杯輝き、この日を迎えた令和3 年春の卒業生を、私もずっと忘れ
ることはないでしょう。全力で疾走する姿も、燃えるような声援も、歯を食いしばり稽古を
した背中も、訥々と夢を語る横顔も。
たくさんの高校生にお会いして感じた底力は、今もなお、心に刻まれています。
「人の志操(不変の志)は失意の時に真にして、
人の情好(友情や愛情)は失意の時に密なるものなり」
(佐賀の偉人・大隈重信のことば)
人生にはいいことも、そうでないこともある。けれど、自分の思いの中でこれからも
全力を尽くしてほしい。
誇らしい佐賀の地で育んだ志と、信じた仲間を大切に、
前へ前へ、自分が選んだ道をまっすぐ進んでいこう。
卒業おめでとう。
令和3年春
佐賀県知事 山口 祥義(よしのり)
卒業するあなたへのメッセージ
卒業おめでとうございます。人生の節目の一つとなるあなたの門出に、心からのエールを送ります。
2020年は、新型コロナウ イ ルス 感染症 の世界的な感染拡大により、私たちの生活は大きな影響を受けました。三つの「密」を避けることや「新しい生活様式」を踏まえた日常生活が推奨され、学校生活においても、生徒が一堂に会して行うような学校行事について、多くの学校でリモートによって開催されたことと思います。そういった意味で、あなたが過ごした学校生活の最後の一年間は、行動に制限の多い一年だったのではないでしょうか。
このような想定外の状況下において、私たちはどうあるべきなのか。 確かに、コロナ禍は、私たちの日常に不自由な状況を作り出したとも言えますが、一方 で、制限の中で最大の効果を上げるような工夫も生まれました。 例えば、 佐賀県 で は 全国に先駆けて一人一台 タブレットを 導入していますが、その恵まれた ICT 教育の 環境を活かして 、 今年度から本格的に 推し進められたオンラインによる学習などは、あなたにとっても身近な工夫の一つではないでしょうか。 今、私たちは困難なこの状況にどう対処するのか試されているのかもしれません。 私たちが 困難を 乗り越えたとき、私たちは未来への扉を開くことになるのかもしれません 。
ところで、 昨年 10月 に 車 いす テニスの 全仏オープンシングルスで 準優勝に輝いた大谷桃子(おおたにももこ)選手のこと を知っていますか 。大谷選手は 高校時代に テニスのダブルスでインターハイに出場するなどの活躍をされていましたが、 卒業後 、病気のために車椅子 生活となり 、 その後、佐賀の西九州大学に進学し て 車 いす テニス を始め、 逆境を乗り越え てこの度の 快挙を成し遂げられました。コロナ禍の中で 今年度は全国高等学校総合文化祭や インターハイ の開催にも大きな影響 が及 び 、 それまでの努力の成果を 発揮できず、 残念な 思いをした人も多かったと思います。S S P 杯 などの 代替大会でその悔しさを昇華できた 人も、そうでなかった人も、 ここで全てが終了するわけではありません。それまで頑張ってきたこと は、 大谷選手のように きっとあなたの人生につながっていくはずです。
さて、 大谷選手はインタビューの中で、「 スポンサーの皆さんや 大学のある佐賀地域で応援してくださる方々に対して、 『 いい報告がした い』 という強い思いが、自分の根っこにあるような気がします」と述べています。あなたの 故郷(ふるさと)佐賀の多くの人が 、卒業するあなたのことも応援しています。これからあなたは、 激動の時代に突き進みつつある世界へと 飛び込んで いくことになります。自らの思い描いていた理想の未来と、厳しい現実との狭間で心 が 折れそうになることがあるかもしれません。そんな時は、あなたが 過ごしてきた 学校での日々 を思い出してください。友人と励まし合い、笑い合ってきたことや、家族とのかけがえのない時間を思い出すことで、きっと 乗り越えることができるでしょう。
あなたが、故郷への 想い と その高い志 を 忘れず 、輝かしい未来を 掴(つか)むことを 心から 願っています。
令和 3 年3月
佐賀県教育委員会
教育長 落合 裕二