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令和5年度 研究の成果と課題
入力日
2024年1月18日
内容
令和5年度(2023年度)研究について
成果と課題
研究部長 佐賀大学教育学部附属中学校
教諭 山岡 貴秀
1 研究主題「社会に開かれた中学校社会科の学びをめざして」について
前年度に引き続き,副題を「~学びのSTEAM化と学びの個別最適化を柱として~」として,研究概要を示した。本研究は,研究のための研究とならず,日々の授業改善や県内すべての学校の生徒に直接還元できる研究とすることを第一義に考えている。そこで,県内での優れた実践をデータベース化し,いつでも誰でも活用できるようにし,困っている先生方を「誰一人見捨てない」,子どもたちを「誰一人取り残さない」授業づくりにつなげていくために,以下の点を踏まえた実践を各支部に依頼して取り組んでいただいた。
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- (1) 学びのSTEAM化(学習内容と学習評価)
- ① パフォーマンス課題の設定について
・設定の手順・方法ア~エ(下記参照)に基づくパフォーマンス課題を単元毎に設定し,実践した一覧表を支部ごとにデータ化する。(単元計画,資料,ワークシートのコピー,授業者のリフレクションなど)
ア 単元の学習内容と関連があること。 イ 答えが確定していないこと。つまり,議論の余地があること。
ウ 佐賀で生活する生徒にとっても,考える価値があること。
エ 持続可能な開発目標(SDGs)と関連があること。
② 学びを社会に開く学習評価について
・単元の見通しや評価方法を生徒と共有する単元シート(授業計画表)を作成する。
・これまでのLPの活用も含めた「学びのネットワーク一覧表」を学年,分野,単元毎に作成する。
(2) 「学びの個別最適化」(学習方法)
・個別最適化を実現する『学び合い』の考え方による授業実践をする。
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以下,各支部からの取組報告を副題の2つの視点で振り返り,次年度に向けての展望とする。
(注)なお,具体的な実践については各分野からの報告に譲ることとする。
2 次年度に向けて
(1) [学びのSTEAM化]について
① 成果として以下の点があげられた。
ア)社会に開かれた学びを意識した授業実践が多く報告された。
・コロナ禍が明け,外部機関との連携が取りやすい環境に戻ったため。
・様々なLPを活用していた。
イ)パフォーマンス課題の設定が定着化してきた。
・全ての支部でパフォーマンス課題を設定した授業実践や報告の記載がみられた。
・毎時間の授業のつながりを意識した単元を構成していくことが当たり前となった。
ウ)学習評価を可視化する動きが広がった。
・ルーブリックを単元導入部で提案するようなワークシートの構成がみられた。
・単元計画表等を活用して毎時間振り返りを記入させ,自己評価させている様子が見られた。
② 課題として以下の点があげられた。
- ア)切実感のある学びにするためのパフォーマンス課題の設定が困難であった。
イ)学びを社会に開くアウトプットにまで至らなかった。
ウ)個別最適な学びを意識した学習評価について,工夫する必要がある。
エ)各地区内での情報の共有が難しかった。
③ 次年度の展望として,上記②のア~エの項目ごとに整理する。
- 切実感のある学びにするためのパフォーマンス課題の設定が困難であった。
[解決策]パフォーマンス課題を生徒とともに考えてみる。
パフォーマンス課題を設定するにあたって,教師は生徒にとって身近であるかどうかや,難易度は適切かどうかなど,教師自身の主観的な尺度で設定することも多い。生徒の実態に応じたパフォーマンス課題を設定することができる場合もあるが,実際に取り組ませてみると,論点がズレていたり,安易な方法を解決策として示していたりした生徒がいた経験があるだろう。
そこで,パフォーマンス課題そのものを生徒共に協働して検討することを提案する。課題設定に生徒自らが携わることで学習意欲が高まり,切実感をもつことに繋げていけるのではないだろうか。
実践方法として,2つのパターンを示す。
パターン1 教師が決めたパフォーマンス課題について,その是非を生徒に問う。
例えば,「石川県能登半島地震に対して,国はどのような支援をしていけばよいだろうか。」というパフォーマンス課題を教師が設定したとする。生徒にこの課題をそのまま取り組ませるのではなく,まず課題そのものの是非について提案をしてみる。ここでは条件として,「石川県能登半島地震」についてのパフォーマンス課題とすることなど,単元の学習内容や教師の意図とのズレができるだけ生じないように,是非を判断する視点を明確にしておく。
想定する生徒の意見としては,国の規模感だとイメージしにくいから,佐賀県ができる支援だとどうだろうか,などが考えられる。もし課題が変わらなかったとしても,生徒と実際にパフォーマンス課題について理解を深めることにつながるため,生徒の切実感を高めていく有効な手立てになると考えられる。
パターン2 パフォーマンス課題の条件を示し,学習内容を生徒と協働して設定する。
例えば,今年度の附属中学校の公開授業では,「佐賀市が取り組むべき課題について提案しよう。」というパフォーマンス課題を教師が設定し,実際にどのような内容について提案するのか,クラス全体で1つのテーマに絞るという授業提案があった。生徒は,事前の時間に市議会だよりを活用して,佐賀市が優先して取り組むべき課題を各自でランキング付けしており,そのことを全体の場で共有し,1つに絞った。生徒自身が実際に学習内容を決めていくため,切実感はより強くなると考えられるが,議論の方向をどのように調整するのかが,教師には求められる。
なお,パフォーマンス課題を生徒と協働して設定するにあたって,意識すべきことについて,唐木清志氏の「リアルな問い」の5つの成立条件は大変参考になるため,以下に引用する。
①その問いが,子どもの迫真感を掻き立てるものであること。
②その問いが,現実社会の問いから導かれたものであること。
③その問いが,大きな問いと小さな問いから構造化されること。
④その問いが,子どもの多様な判断に開かれていること。
⑤その問いが,最終的には,社会への関わり方を子どもに要求するものであること。
唐木清志,「『リアルな問い』を設定するための五つの条件」,明治図書,『社会科教育』№726,p.9
このことを生徒と共有するために生徒の目線で書きなおすと,次のようになると考えられる。
①みなさんが考えた問いは,みなさんにとって,解決してみたいと思う問いですか。
②みなさんが考えた問いは,現実社会で解決されていない社会問題ですか。
③みなさんが考えた問いを解決するためには,先に考えるべき疑問がいくつかありますか。
④みなさんが考えた問いに対する解決策について,意見が分かれそうですか。
⑤みなさんが考えた問いを解決するために,みなさんに何ができそうですか。
パフォーマンス課題は何でもよいというわけではなく,真正の課題を設定する上で当然何かしらのルールは必要となってくるため,今後さらに検討していかなければならない。生徒と協働してパフォーマンス課題を検討していくことで,生徒の課題設定能力を高めたり,課題に取り組む必然性を高めたりすることに繋げていきたい。
イ)学びを社会に開くアウトプットにまで至らなかった。
[解決策]生徒が住む世界こそまさに社会そのもの。市民社会の定義を広く捉え,まずは 手軽にできそうなことからやってみる。
生徒が「考えたい」,「もっと知りたい」と思うような意味や価値を有する学習とするには,学習を学校だけにとどめてはいけない。その外部の市民社会へと広げる必要がある。なぜなら,教師の評価だけでは,市民社会において有用な学習であるとは必ずしも言えないからである。したがって,評価方法においては,教師以外の第三者と共同して学習評価していくことが求められる。
しかし,どのようにして外部とつながってよいか,それがなかなか難しいという困り感がある。そこでまずは,実際にできそうなことからやってみるとよいのではないだろうか。できそうなことを捜すためには,市民社会の定義を,必ずしも外部の有識者に意見を求めることや広く多くの市民に意見を求めることにしなくてもよいのではないだろうか。ここでは,段階例として以下のような手順で紹介する。
ステップ1 身近な市民社会-保護者-
生徒にとって保護者は最も身近な市民社会に生きる他者である。保護者の職業や過去の体験などによって,その価値観は多様であり,保護者に意見を求めることだけでも十分に社会に意見を発信したり,または評価を受けたりすることができる。参観日に実際に授業に入ってもらって,生徒と協働することも有効な方法であると考える。
ステップ2 身近な市民社会②-他教科の教師-
担任や他教科の教師は,家族の次に身近な市民社会に生きる他者である。保護者と同様に,実際に評価を受けるだけでなく,繰り返し話を聞くことが容易である点において,自分の意見を改善することにつなげやすい。その他,校内研や研究授業などで行う際,また,教師ではないが教育実習生の授業見学など,授業に教師等が参加する場面を活用することも考えられる。
ステップ3 既存の外部機関との連携の活用
社会科教育では,各学校で様々な既存の外部機関との連携プログラムが行われている。最も分かりやすい例では,主に3年生で行われる租税教室(財政教育)である。担当者が来校して講演などをしていただけるが,必ず事前打ち合わせがあるため,こちらの要望も伝えやすい。なお,学習評価は必ずしも文章表現したものに対して文書で返答していただくものだけではない。授業中にGW等の際に指摘してもらうのも,形成的評価の意味合いをもつ。
以下では,いわゆる租税教室(講演)の形ではなく,税務署職員等とタイアップした授業づくりの実践例(実践は令和3年度)を紹介する。
タイアップ授業をするにあたり,事前に打ち合わせをして共有した目的は下記の点である。
①経済及び財政に関する授業を通じて,社会問題を,他人事ではなく,自ら考えなくてはならない問題だと感じてもらう。その結果,社会問題に関する新聞やテレビのニュース等を見た際に,社会の仕組みや経済財政へより深い関心を持つきっかけとしてもらう。
②財政に関する話し合いや予算編成におけるジレンマを通じて,受益と負担の両面性(トレード・オフ)を理解し,一面的・断片的な理解ではなく多面的な見方が重要であると感じてもらう。
③財政に関する話し合いを通じて,多様な意見がある中,それを集約するには,民主主義的過程が重要であると認識させる。また,学校における授業との関係において,民主主義を理解するため(主権者教育)の一つのケーススタディと本プログラムを位置づける。
また,当日の授業にいたるまでに学校の授業で教師側が担う役割についても下記のように共通理解を図った上で,事前授業の数時間の中で,グループごとに令和4年予算である108兆円を,「医療」「年金」「介護・少子化対策など」「地方交付金」「公共事業」「防衛」「教育」「その他」の8項目のお金を動かして予算をつくるところまで実施して,当日にアドバイザーを迎える形をとった。
・事前講義については,学校側において,財政学習教材を用いて公民の授業枠で実施。
・各生徒における個人ワーク・GWについては,学校側で実施。
・学校側で実施する授業の位置づけとしては,事前講義及び個人ワークで得た各自の意見をグループワークで,表明し,多様な意見・考え方があることに気づき,班としての意見をまとめる過程で,社会的な課題についての調整の困難さ及び課題の内容が多様かつ広範であることを認識してもらう。
・事前に実施するGW後にポイント・気付き・疑問点をまとめておき,今回の授業(振り返りに位置づけ)でアドバイザー(佐賀財務事務所職員)と意見交換を実施し,理解を更に深めるとともに,様々な視点への気づきを得る。
当日の授業では,福岡財務支局(4名),佐賀税務署(2名)が授業に参加されて,各グループに入って,予算編成のアドバイスをされた。
また,生徒の学びは佐賀財務事務所HPに掲載していただいた。
ステップ4 外部機関への投書や人権作文コンクールへの応募など,既存の発信の場の活用
佐賀新聞や各自治体の広報誌など,既存のツールで市民の意見を募集している媒体にそのまま投稿することによって,個別に相談する必要性がなくなり,手軽に新聞や広報誌に掲載されることそのものが評価されていると捉えることもできる。また,人権作文や税の作文なども貴重な社会発信の場となる。職員室の回覧などに目を向けてみると,城の自由研究や北方領土作文,北朝鮮の拉致問題に関する作文など,中学生が社会に意見を発信する場は多様に存在する。それらを授業と関連付けることで,作品そのものの質も向上する。
ステップ5 パフォーマンス課題に沿うLPの活用
パフォーマンス課題に関する意見を伝える相手として,LPを独自に設定する。例えば,令和3年度の附属中学校の公開授業では,防災に対する公助の視点からの行政への要求プレゼンを,佐賀市役所危機管理対策課職員2名にLPとして参加していただき,実際に評価していただいた。その際に,LPからは,もっと何度も授業に携わる機会を頂き,専門的に議論を重ねたかったという,こちらが想定していなかったありがたい言葉を頂いた。LPにもよるとは思うが,こちらが思っている以上に教育に対する関心が高い方が多いようである。LPとして授業に参加することをお願いしたいと思う方が思い浮かんだ場合,一度電話やメールで相談してみると,思いのほか話がうまく進むことにつながるのではないだろうか。(遠隔地の場合はZoomやメールでの間接的なやり取りでも構わない。)
ウ)個別最適な学びを意識した学習評価について,工夫する必要がある。
[解決策]総括的評価と形成的評価の違いを意識して,形成的評価の面において個別最適な評価の在り方を検討していく。
評価についてはさまざまな工夫がなされた実践報告も多く,今年度の課題として挙げている支部もほとんどなかったが,個別最適な学びを実現する上での指導と評価の一体化をどう図っていくべきかという視点においては検討する必要があるように感じた。
その際にまず考えるべき点が,総括的評価と形成的評価である。総括的評価とは通知表の数値やアルファベットで表す評価など,一定期間の学習の習熟度をまとめて数値化したものである。一方,形成的評価とは,ワークシートの振り返りなどにコメントを書いて返すなど,学習途中の状態の生徒に対して,より良くなるために行う手立てとしての評価のことを指す。総括的評価の場合だと,生徒の努力の過程よりもその成果を絶対的な基準で判断していくこととなる一方で,相対的評価では,生徒の学ぶ過程そのものを評価する。
生徒の学びをより充実したものにするためには,一人一人の実態に合わせた丁寧な実態把握に基づく形成的評価が欠かせない。しかし,形成的評価は自己評価や教師からの評価にとどまるものではない。『学び合い』などの学習方法をとることによって,他者との相互評価を図ることも容易となる。ルーブリックのような評価規準や,評価のポイントとなる視点を示すことで,自己評価や相互評価をより有効性の高いものへとしていくことに加え,生徒一人一人の見取りを丁寧に行い,変化に気付き尊重する姿勢を教師が持つことが肝要である。そうすることによって,「誰一人取り残さない」個別最適な学びが実現するのではないかと考えている。
エ)各地区内での情報の共有が難しかった。
[解決策]本部役員がお手伝いする。また,社会科教育に関する様々な研修の機会を活用する。
今年度,九中社研宮崎大会での実践発表として,伊西地区が担当であった。伊西地区では何度も検討会を重ね,またその都度本部にお声がけしていただいたこともあって,協働して実践発表を吟味することができた。本番は大変意義深い提案ができたわけだが,同時に実践発表者だけではなく,地区内全体で社会科教育についての情報や意見を共有することができた。県大会等の発表の有無にかかわらず,情報を共有したい際には本部役員を各支部の研究会に派遣することもできるため,有効活用していただきたい。
また,情報に関する共通認識をもつという意味として,様々な研修会にご参加いただくことも有効である。県社研主催の場合,7月に手島前研究部長(現佐賀市教育委員会)による『学び合い』に関する夏季研修会を開催し,50名以上の参加があった。百聞は一見に如かずで,多くの先生方と『学び合い』の実際のイメージを共有することにつながった。他にも教育センターの講座や附属中学校などの公開授業に参加することで,県社研が目指す社会科教育のイメージを先生方がより具体化することにもつながると考えている。来年度は小城・多久地区で県大会を予定しており,ここにも多くの先生方にご参加いただくことで,どのような社会科教育を目指していくべきか,意見を共有することができる。
なお,佐賀市のようにワークシートやパフォーマンス課題の一覧表を共有することも有効な手立てであることは言うまでもない。本部でも令和9年度の全国大会を見据えて,今年度よりクラウド上でデータを管理して共有したり,ホームページを作成しようとしたりする動きが出始めている。ICT機器なども利活用して,先生方を「誰一人取り残さない」ネットワークの構築を引き続き目指していきたい。
(2) [学びの個別最適化]について
① 成果として以下の点があげられた。
ア)各種研修会に参加するなどして『学び合い』に関心をもち,取り入れる学校が増加した。
イ)新たな情報を取り入れたり,意見を集約して共有したりする際に,ICT機器を効果的に利活用する実践が増えた。
- ② 課題として以下の点があげられた。
ア)『学び合い』をすることができる学級の状況ではない。
③ 次年度の展望として,上記②のアの項目について整理する。
ア)『学び合い』をすることができる学級の状況ではない。
[解決策]まずは週に1回からでもイベント的にやってみる。そして,継続してみる。
学校によっては,生徒の実態を鑑みて,『学び合い』をすることが難しいという声がこれまでも何度か聞かれたことがある。確かに一斉形式やグループでの学びを行うと,授業の規律がとれ,授業として成立するという考えは一理ある。こうした授業形態を否定しているわけではないが,どのような学校の実態であったとしても,それが『学び合い』が出来るかどうかを判断すべき材料にはならない。
では,なぜこうした声が聞こえるのか。それは,教師の『学び合い』に対する誤解がある。生徒を信じて,学びの主体として尊重し,教師は生徒同士をつないだり,生徒の活動を褒めて承認したりしてマネジメントする。教師の支援には,『学び合い』の中で大切な「誰一人取り残さない」という規律をクラス全体で守らせていく大切な役割がある。『学び合い』の意図やよさを理解して,すぐに活動に順応していく生徒もいれば,長い期間をかけてやっと活動に参加するようになる生徒もいる。一斉形式やグループでの学びだと,困り感のある生徒が実は学習に躓いている様子に気づくことができず,また同時にその対応も後手に回ってしまう。また,生徒にわかったフリを無意識にもさせてしまうことにもつながる。一斉授業やグループでの学びで分かる生徒は,『学び合い』の授業形態でも分かることができる。『学び合い』が対象としているのは,勉強が好きな子や得意な子も苦手な子も嫌いな子もすべてである。そうしたすべての生徒を一つの共同体として,お互いに支え合っていこうという考え方であるからこそ,いわゆる「『学び合い』が出来る状況ではない」と思う学校の実態でこそより機能すると考えられている。
まだ『学び合い』の授業をやったことがないけれども,興味があるという先生は,まずはやってみることから始めてほしい。すでにやってみたものの期待された効果が得られないと感じている先生は,長期間の継続したスパンで徹底してみることで,何か変化が生まれるかもしれない。研究部が『学び合い』に注目しているのは,学びの個別最適化において,『学び合い』が最適な学習方法の一つだと考えているからである。学びの個別最適化についての理解が深まり,生徒を「誰一人取り残さない」社会科教育の実現に向けて,研究部として研修の場や授業公開の場をセッティングするなど引き続き取り組んでいきたい。
「学びのSTEAM化」,「学びの個別最適化」を通して,社会に開かれた中学校社会科の学びにつなげていくために,今年度までの2年間を,令和9年全中社研佐賀大会に向けた研究の方向性を見出す1つのスパンとして捉えてきた。積み上げてきた成果と課題をもとに,日々の授業改善やすべての学校の生徒に直接還元できる研究となるようにしていきたい。本県で考える「学び」のイメージは以下のとおりである。
実社会での体験/グローバルな視点 実社会から学ぶ 実社会から問いを生む 社会貢献のデザインをする レベル3 本物の素材/他者・ローカルな視点 本物の素材から学ぶ
対話から問いを生む
学外に向けて発表をする
レベル2 教科書/個人的な視点 教科書から学ぶ
個人の問いを生む
校内で発表する
レベル1 学習への積極的参加
(学習内容)
探求
(学習方法)
行動・アウトプット
(評価)
レベル 最後に,具体的にお願いしたいのは,次の点である。
①各分野,実践の資料(データ)を確実に残していくこと。
例)パフォーマンス課題,LP一覧,単元計画表,授業資料,生徒のワークシートのコピー,授業者やLPのリフレクションなど
- ②実践の資料(データ)は,引き継いでいく(積み上げていく)こと。
- ➂引き継いでいく(積み上げていく)責任者を明確にしておくこと。
- ④プレ授業等を確実にもつこと。
- ⑤その日程は,県中社研事務局および同一分野他地区へも連絡すること。
県社研研究部も令和9年の全国大会佐賀大会に向けて,以下のような研究体制や役割分担をして,引き続き県全体として取り組んでいくことができる体制を整えていきたい。
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