入学式式辞
入力日
2020年4月9日
内容
式辞
校舎入り口の桜は、まだ花びらをしっかりとまといながらも、少しずつ緑の葉を勢いよく芽吹き始め、着実な季節の移り変わりとともに、生命の躍動を感じさせる今日の良き日に、多久市教育長職務代理者 江打(えうち) 正敏(まさとし) 様、多久市教育委員 峰(みね) 晋(すすむ) 様、PTA会長 陣内(じんのうち) 謙(けん)太(た) 様のご臨席を賜り、ここに 多久市立 東原庠舎 中央校の小中一貫教育校として第8回目、そして新たな教育を目指す義務教育学校としてスタートして第4回目の入学式を挙行できますことを心より感謝申し上げます。
さて、新一年生85名の皆さん、ご入学おめでとうございます。中央校では、皆さんの入学をみんなで心待ちにしていました。
皆さんも今日、この日をドキドキワクワクしながら、待っていたことでしょう。
今年は残念ながら、新型コロナウィルス感染予防のため、体育館の中には皆さんだけの席しか準備していませんが、この学校は義務教育学校といって、一年生から九年生までの児童生徒の皆さんが一緒に勉強している大きな学校で、実は、皆さんのお兄さん、お姉さんに当たる上級生の皆さんも、この入学式の様子をそれぞれの教室のテレビ画面をとおして、温かく見守ってくれています。
想像できますか。すごいことですよね。今、全校が一緒の時間を過ごしているのです。とても素晴らしいことです。
みなさんは一人ではありません。周りにはたくさんの友達がいます。そして2年生から9年生までのお兄さん、お姉さんがいます。この学校が一つになって、元気に学校生活を送ってほしいと思います。
ところで、先ほどから見ていて、皆さんはお話の聞き方がとても上手だなあと感心しています。
「人の話はおへそで聴こう」という言葉を知っていますか。「おへそ」。そう、お腹の真ん中にある「おへそ」です。ここで聴くのです。
「え? 人の話は耳で聞くんじゃないの?」とへんな感じがした人もいるかもしれませんね。「人の話はおへそできこう」というのは「話をしている人の方に体を向けて、しっかり正面から聞こう」という意味です。
そういうしっかりした聞き方がみなさんできていますね。これから学校で、机を並べて勉強していきますが、その基礎・基本がしっかり身についている証拠です。皆さんの頑張りがとても楽しみです。
さて、これから皆さんは、新しい学校生活を始めるわけですが、そこで、二つのことを約束してほしいと思います。
一つ目は、目と耳について。「しっかり見て、しっかり聞くこと」です。
目の前にあるものを目をパッチリ開けて、しっかり「見て」ください。そして、「これはなんだろう?」「なぜこうなるのかな?」と考える。
それから、人の話を耳を澄ませて、しっかり「聞いて」ください。そして、「それはどういうことだろう?」「なぜそんなことを言うのかな?」と考えることです。
実はこの「しっかり見て、しっかり聞くこと」こそが「勉強する」ために一番大切なことなのです。
そして二つ目。「目標を持つこと」です。「目標を持つ」とは、「夢を持つ」と言ってもいいでしょう。皆さんには「夢」がありますか? 皆さんは、将来何になりたいですか? スポーツ選手? 幼稚園の先生? 花屋さん? それが「目標」であり、「夢」です。今は、まだないかもしれません。あるいは、一つではなく、二つも、三つあるかもしれません。そして、だんだん大きくなるにつれて、それは変わっていくかもしれません。でも、それでいいのです。大切なのは、これからのこと、将来のことを「考える」ことなのです。
今、お話しした二つのことを、ぜひ今日は、家に帰って、おうちの人とお話ししてみてください。もう一度言いますね。「しっかり見て、しっかり聞く」。そして「夢を持つ」。この二つです。この二つの約束を忘れずにいてくれたら、きっと皆さんは、とても立派な人間に成長できるでしょう。
さて、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。これまで、手塩にかけて、育てあげてこられた、大切なお子様を9年間お預かりいたします。私たち教職員は総力を挙げ、お子様にしっかりと寄り添いながら、責任をもって、お子様方の教育に当たることをここにお誓いいたします。本校には、優れた教職員がそろっております。私たちは、「全ての子どもたちを、全ての教職員で見る」ということをモットーにしています。どうか、安心してお任せください。
そして、先ほども申し上げましたように、本校は義務教育学校として9年間を貫いた教育を実践しています。9年間というと少し長い気もされるでしょうが、節目・節目に、大切な行事を準備しています。
本日の「入学式」にはじまり、9年後、15歳での「卒業式」に向かって、一歩一歩着実に歩みを進めていきますが、その途中に、10歳の年で「二分の一成人式」を、13歳の年に「立志式」を行います。まさにホップ、ステップ、ジャンプです。
とはいえ、子どもさんが自立しないうちは、学校と家庭と地域とがしっかりと連携を図りながら、三位一体となって教育に当たることが必要です。家庭でしつけ、学校で教え、地域で育てる。
本校は、地域とともにある学校、コミュニティスクールでもあり、本日は、学校運営協議会委員の皆様にも、多数ご臨席をいただいておりますが、地域の方々からも、給食の手伝いや登下校時の見守りなど、多くの協力を得ながら、学校運営を進めているところです。
御家庭におかれましても、早寝・早起き・朝ごはんといった生活習慣の確立を、また、勉強は学校でしっかり指導いたしますが、その学びをより確実なものにするための御家庭での学習習慣の確立にむけ、御理解と御協力を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。
最後にもう一度、一年生の皆さんにお話しします。
この学校は「東原庠舎」といいます。「庠舎」というのは「学校」という意味です。昔、多久をおさめていた偉いお方が、やる気のある子どもたちを集めた学校をつくりました。
その学校で、子どもたちは一緒に勉強し、そこから日本で大活躍する志田林三郎という人物や高取伊(これ)好(よし)といった人物など、とても偉い人たちが育っていきました。つまり、皆さん一人一人が、志田林三郎であり、高取伊好なのです。
皆さんは、きっと二十二世紀を見ることになるでしょう。どんな世界になっているでしょうか。わくわくしますね。そんな未来に向かって、今日から元気に、しっかり勉強して、楽しい学校生活を送りましょう。
これからの皆さんの大活躍を祈りながら、結びの言葉といたします。
令和二年四月九日
多久市立東原庠舎中央校
学校長 下村 昌弘
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