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非認知能力の重要性
入力日
2020年9月1日
内容
令和2年6月1日(月)佐賀県教育委員会落合裕二教育長と唐津市、伊万里市、武雄市、鹿島市、嬉野市、玄海町、有田町、江北町、白石町、太良町、大町町の教育長等が一堂に会し、西部地区の県・市町教育長等意見交換会が開催されました。
意見交換の議題の一つに「児童生徒の『自己肯定感の醸成』」が設定され、非認知能力の重要性が論議されました。
非認知能力は、IQや学力テストで計測される認知能力とは違い、忍耐力、自制心、社会性、意欲、創造性などの人間の気質や性格的な特徴のようなものを指します。「生きる力」とも言えます。これまでの様々な研究では「非認知能力が認知能力の形成に一役買っている」ことも明らかになっています。また、「非認知能力は、人から学び獲得する物である」とも言われています。さらに、「認知能力に比べ数値化しにくい」と言われています。
会では、「非認知能力を育むと自己肯定感が高まる」、「非認知能力を育む場こそ、学校と家庭と地域である」、「郷土や自分の学校を誇りに思って欲しい」などの意見が出されました。
では、非認知能力を鍛えて伸ばすにはどうすればよいのでしょうか。
教育経済学者の中室牧子氏は、自身の著書「『学力』の経済学」(2015 ディスカバー・トゥエンティワン)の中で下記のように述べておられます。
〇「人生を成功に導くうえで重要だと考えられている非認知能力の一つは『自制心』です。」
〇「腹筋や腕立て伏せのように、自制心も、何かを繰り返し継続的に行うことで向上します。」
〇「『細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理する』ことが自制心を鍛えるのに有効であると多数の研究で報告されています。」
〇「もうひとつの重要な非認知能力として挙げられるのが、『やり抜く力』です。」
〇「スタンフォード大学の心理学者であるドゥエック教授は、この力を伸ばすためには、『心の持ちよう』が大切であると主張しています。」
〇「『しなやかな心』を持つ、つまり『自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる』ということを信じる子どもは、『やり抜く力』が強いことがわかっています。」
〇「親が幼少期のしつけをきちんと行い、基本的なモラルを身につけさせるということは、勤勉性という非認知能力を培うための重要なプロセスなのです。」
テストの点数を評価するのではなく、テストを受けるまでの学習の態度や本を読んだこと、宿題をしたことの過程などプロセスを評価することがとても大切なのだと改めて思いました。結果ではなく、努力の過程が大切であるというメッセージを子ども達に伝え続けていかなければなりません。また、この本には、「勉強しなさい!」の指示は全く効果がないことや罰としてテレビ・ゲームを禁止しても家庭学習時間は増えることはないとも記されており、場当たり的で感情的な指示や賞罰を与えるのではなく、あらかじめ家庭学習時間をルール化して継続と徹底で守らせていくことの方が大切なのだと思いました。
一方、1日2時間以上メディア視聴、ゲーム使用は、子どもの発達や学習時間への負の影響が飛躍的に大きくなることが様々な調査で明らかになっているようです。家庭での子ども達のスケジュールについては、一定の基本的ルール作りとそれを守り続けていく自制心とやり抜く力が重要なのではないでしょうか。
大町ひじり学園の小中一貫教育の基軸であるキャリア教育では、人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力を育むことを機能概念としています。まさしく非認知能力を育んでいるのだと今回改めて思ったところです。
※引用・参考文献 「『学力』の経済学」中室牧子(2015 ディスカバー・トゥエンティワン)
大町町教育委員会教育長
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