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小中一貫教育の成果と課題
入力日
2020年7月3日
内容
大町町は、教育大綱の学校教育の大きな2つの柱として、小中一貫教育とコミュニティ・スクールの推進を位置付けています。特に、小中一貫教育の推進については、着手して14年目、大町ひじり学園を開校して10年目、大町小中学校を義務教育学校に統廃合して5年目を迎えます。全国各地から学校教育関係48団体の学校視察を受け入れました。ここで、これまでの成果と課題についてまとめてみます。
〇キャリア教育について
・大町ひじり学園の小中一貫教育は、ずばりキャリア教育である。これは、児童生徒に基礎的・汎用的能力を育む教育である。基礎的・汎用的能力は、4つの力に分類され、人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力を育むことを機能概念として、大町ひじり学園では全ての教科領域で指導がなされている。この4つの力は、元大町小中学校校長の松尾道彦氏によれば「人と、自分が、未来に向かって、生きる能力」とも言い換えることができる。
・4つの力を具体化した大町ひじり学園のキャリア教育目標は、「夢に向かって 絆・全力・挑戦!」であり、児童生徒の合言葉となっている。
・中学3年生対象の「将来の夢を持っているか?」の調査では、毎年9年生は、夢を持つ割合が全国平均を大きく上回る。「何のために学ぶのか」という学ぶ目的を理解している証拠であり自己肯定感につながるものである。長年続けてきたキャリア教育推進の成果と考える。
・毎年、3分の1程度の教職員が異動する中、大町ひじり学園のキャリア教育をこれからも持続可能なものにするためには、教育委員会による義務教育学校教職員への継続した指導、働きかけが重要である。
〇学力向上について
・毎年小学生は県平均を下回る学力であるが、中学生になると県平均を上回る。この傾向は平成24年度から毎年続いている。小学部教員と中学部教員が児童生徒の実態に応じて系統的指導を行っていることや中学生の問題行動が減り日常落ち着いた授業が展開されていることに起因すると考える。小学生の学力の課題については、特に、前期ブロック(1・2・3・4年)での学習習慣の確立が重要であり、若手教員の授業力向上、小1プロブレム解消支援員の活用を進めていく。
・特に、中学生の英語については、毎年県平均を大きく上回る学力を示している。中学部英語教員による小学部外国語への乗り入れ授業、5・6・7年生への同一講師配置(元中学校英語教員)、小学生英語力向上事業による5・6年生外国語と3・4年生外国語活動への日本人ALT(外国語指導助手)の配置(元中学校英語教員・英語塾講師)、外国人ALT(トーマス先生)の配置、TT指導(複数の教員による指導)の成果と捉えている。
・児童生徒の家庭学習時間が極めて短い。学校では、宿題の出し方を工夫したり、宿題評価を徹底したり、PTAへの協力を呼び掛けているが、改善傾向が見られていない。キャリア教育を通した自己理解・自己管理能力の育成に力を入れる必要がある。スマホやゲームへの対応も喫緊の課題である。
〇問題行動について
・特に、小中一貫新校舎が建ってから、中学生の問題行動が激減している。小学生と中学生が同じ校舎で生活することで、中学生が目線を下げ学校生活を送っていることがいわゆる「優しい中学生」を育んでいるのではないかと考える。
〇不登校について
・不登校児童生徒は減少してはいない。しかし、7年生に目を向ければ不登校出現率は抑えられており、いわゆる中1ギャップの解消が見られている。6・7年生の児童生徒アンケートでも小中一貫校ということで「中学校生活への不安は解消された」との回答が多く見られている。
大町ひじり学園では、ブロック集会や合同体育大会の実施、5・6年生の中学部行事への参加、小中集団登校等、義務教育学校、小中一貫校ならではの取組を重ねています。今後も大町町への移住・定住促進に向けた町の魅力の一つとして大町ひじり学園が位置付けられるよう、多岐にわたる今日的課題に対応しながら大町ひじり学園をしっかり導いてまいります。
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