閉校のあいさつ ~大川小学校「ありがとう」そして「さようなら」
入力日
2025年3月31日
内容
閉校の挨拶
大楠とせんだんが見守る校庭に今年も春がや ってきました。毎年、変わらずこの校庭に訪れてきた春。この大川小学校で迎える春も今年が最後になりました。
八幡岳にいだかれた豊かなる里、大川。明治5年、この大川の有志が多久の学者である草場船山先生を招き、「本立堂」を開いたのが大川小学校の始まりです。「本立堂」の「本立」という言 葉は、「本(もと)立ちて道生ず」という言葉からつけられたと言われています。「本(もと)すなわち基本を大切にして物事に励むと自然と道 が開けてくる」という論語の教えです。大川小学校の図書室には、草場船山先生が書かれた「本立 堂」の書が掲げられてきました。この書の力強い 文字に、大川の地に教育の礎を築かれた草場船山先生の教育への熱い思いを感じることができます。大川小学校の子供たちは、開学の祖草場 船山先生のこの熱い思いを胸にこれまで勉学に 励んできました。
この大川小学校も今年で閉校し、153年の 歴史に幕を閉じることになります。そして、大川 小学校、松浦小学校、東陵中学校の三校が統合し 「義務教育学校東陵学園」が誕生します。開校 以来、153年、1万人を超える卒業生が、この大川小学校を巣立っていきました。大川小学校 の思い出は卒業生一人一人違いますが、それぞれの思い出が、153年の大川小学校の歴史と伝統を作ってきました。そして、この歴史と伝統は、東陵学園へと引き継がれていきます。
私は令和5年度から二年間、大川小学校最後の校長として勤務させていただきました。私の大川小学校の赴任は3度目で、合わせて8年に なります。校長として赴任してから、担任をした卒業生によく声をかけられることがあります。 立派に成長した教え子の姿を見るのは、嬉しさとともに時の流れを感じる瞬間です。ただ、時が 流れても大川町の豊かな自然と子供たちを見守る地域の方の温かいまなざしは変わりません。大川の子供たちの穏やかで優しい心は、このような大川町の自然や地域の人々によって育まれてきたのだと思います。この子供たちが「元気いっぱい やさしさいっぱい 知恵いっぱい」の校訓を胸に刻み、松浦の子供たちとともに東陵学園の新しい歴史を作っていってくれることを 期待しています。 大川小学校は今年で閉校になりますが、地域の皆様には今後も大川の子供たちを「地域の宝」として、見守り励ましていただきますようお願い申し上げます。
閉校が近づき、多くの卒業生の方が、この大川小学校をたずねてこられました。幼いころと変わらない楠とせんだんの木に見守られた校庭で、大川小学校で過ごした日々を懐かしみ、そして 閉校することを惜しみながら校門を後にされていました。大川小学校が閉校しても、大楠とせんだんが見守る校庭にはこれまでと変わらず季節が巡ります。大川小学校最後の在校生の皆さん、 そしてこれまで大川小学校の歴史と伝統を作ってきた卒業生の皆さん。一人一人が歩む道はそれぞれ違いますが、これからも大川小学校のことをいつかどこかで思い出し、ここで仲間といっしょに過ごした日々を懐かしんでもらえればうれしいです。
令和7年3月30日(日)
天気晴多くの来賓、在校生、卒業生、地域の皆様が大川小学校の 閉校を惜しみながら閉校記念式典が挙行される。
令和7年3月31日(月)
大川小学校閉校。153年の歴史に幕を閉じる。
明治以来、日々記録され保存されてきた校務日誌に今日、大川小学校最後の歴史が刻まれます。これまで、大川小学校を温かく見守り、支えて いただいた関係の皆様に感謝を申し上げます。
大川小学校。これまでありがとうございまし た。そしてさよなら。
令和7年3月31日 大川小学校 第49代 校長 羽田野 修
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