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令和4年度第二学期終業式 校長訓話

 2022年も残りわずかとなりました。

 

 4月始まりのサイクルで動く学校生活において、残り3か月のところでやってくる年末年始は、次の年度に向けての反省や修正を図るのに丁度良い機会だと言えます。これまでに目標をどの程度達成できたのか、振り返り、気を引き締め直すことが大切です。そして、「さあ今年はやるぞ」と、すがすがしい新年を迎えてほしいと思います。

 

 たまに授業の様子を見に回ると、皆さんの様子には実に感心させられます。真剣な眼差し、積極的にペアワークに取り組む姿。なんでこんなに真面目なのかな、色々理不尽なことも多い世の中をこんなにいい子で渡っていけるのかと心配になるくらいです。いやいや、本当は、こういう若者たちがいて、世の中の希望だな、この子たちがしっかりやってくれなければな、と思うわけです。

 

 ただ、欲を言えば、授業のことですが、そんなにいい子に収まらず、恥ずかしがらず、もっとがつがつガンガンやってほしいと感じるところもあります。例えば、「なんで、指名されたとき先生との内緒話のような小さい声で発表するかなあ」とか、「折角リスニングやシャドーイングを頑張っているのに、なんでペアワークでは英語をカタカナみたいに喋るかなあ」とかですね。

 

 また、「授業を受ける」のではなくて「自分も一緒に授業を作っているんだ」くらいの気概をもって授業に臨んでほしい。大体、高校生ともなれば、先生の説明に対して、「ああ、こういうことを説明されたいのだろうけれど、別の言い方をしてもらった方が分かり易いな」とか、気付くこともあると思います。そんなときには、「先生、今こうこうこうと説明されたんですけど、それってこういうことですか」とあえて質問する体でお伝してみるとか、より良い授業づくりに能動的に貢献しましょう。授業を揺さぶる。そういう授業は自分の記憶に強く残り、クラスのみんなにもメリットがあるのではないでしょうか。

 

 それから、先日みなさんの学習時間調査の結果を見て、1、2年生については率直にはまだまだだなあという思いを持ちました。1、2年生の一日当たりの学習時間は、2時間以上の人が全体の約1/4。90分以上でも45%弱、という結果でした。土日も含む集計ですから、これはかなり気を引き締め直すべき実態だと受け止めてください。一日2時間未満では、高校の学習内容を十分身に付けることは難しいはずです。睡眠を削らずに、あとどれくらいの時間を学習に回せるのか、是非見直しをしてみてください。

 

 3年生でこれから受験を控えている人は、何より体調を維持しながら、焦らず一定の取組を続けることが大事です。問題数だけをこなして上滑りになることがないように、丁寧に弱点を一つずつクリアしていけば、ゴールは近づいてきます。長丁場ですから、家族や先生方に遠慮せず、頼るところは頼りながら、頑張りを貫徹してください。

 すでに進路が決まった人は、進路先で今ホットなトピックとして注目されていることは何かということを研究するほか、さらに視野を広げるようなことにも取り組んでほしいと思います。

 

 今年は、世の中を見ればとんでもないことが多すぎる一年でした。公共の事業で私腹を肥やす者、調査すべきことを調査しないと言って憚らない者、規制を破っていたことをごまかす者。無責任から引き起こされた人災。

 何より、今の時代のこととは信じ難いような戦争の破壊と暴虐の極み。そして、それを目の当たりにする中で、これまで長く日本国民が慎重に考えていたはずの変化があっさりと成し遂げられつつあり、省みればそういうことをきちんと議論する力を私たちは持っているのかということを突き付けられています。

 私たちが問いかけられていることはあまりにも多くて、難しい。高校での学びを表面的にやり過ごしていたら、そういうものには流されていくしかない。皆さんの学びは、まずは生活の糧を得るのにつながっていく力を身につけることが第一ではあるけれど、それと同時に、どういう社会を作っていくべきかを考えるためのより広い素養を身につけることも忘れないでほしいと思います。狭い了見で勉強するのはやめておきましょう。

 

 最後に、この年末年始の期間が、皆さんにとって、これから自分が進むべき方向に思いを致し、それに見合う取組を定める良い機会となることを期待して、終業式の訓話とします。

 

      校長 久保山 文典 

 


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