研究の概要
入力日
2022年3月16日
内容
研究主題
肥中生の「学ぶ力」を育成する指導法の工夫
~アウトプット活動と一人一台端末の活用を通して~
【総論】
1 指定研究課題と研究内容
(1) 指定研究課題 一人一台端末を利用した授業改善を行う。(委託年数 2年)
・全体計画及び年間指導計画(教科横断的な活用の視点)の作成
・一人一台端末を有効に活用した授業実践
・実践研究結果の発表、モデル授業の公開、通信等における実践事例の紹介
・県・市町の広報の機会(教育フェスタ)における情報提供
(2) 研究内容
① 研究の「共通の柱」
○授業,家庭学習,様々な教育活動において,一人一台端末も活用し,学んだことを「アウトプット」する活動を取り入れ,指導法の工夫を行う。
○学ぶ意欲(学びに向かう力),学んだ力(基礎的・基本的な知識及び技能),活かす力(思考力・判断力・表現力)の3つを「学ぶ力」とし,生徒が生き生きと「アウトプット」する場面を設定することで,肥中生の「学ぶ力」を育成する。
② 具体的な取組
○授業におけるアウトプット活動の取組
○家庭学習におけるアウトプット活動の取組
○様々な教育活動におけるアウトプット活動の取組
2 研究の概要
(1) 研究主題
肥中生の「学ぶ力」を育成する指導法の工夫
~アウトプット活動と一人一台端末の活用を通して~
(2) 主題設定の理由
本校は、学級数6クラス(普通学級4クラス・特別支援学級2クラス)の小規模校である。生徒全体としては、純朴でおおらかであるが、学習に対する苦手意識が強く、主体的な学習が進まず自己肯定感が低い生徒がみられる。地域全体としては社会経済的背景(SES)が低いと推察され、通塾率も低い上に、家庭学習にかける時間も少ない。そのような中で、令和2年度は、「学ぶ力」をバランスよく育成するために、授業、家庭学習、様々な教育活動において、アウトプット活動を通した学習指導法の工夫を行ってきた。
新学習指導要領では、急速な社会の変化の中、一方的に知識を得るのではなく、「主体的・対話的で深い学び」を実現し、生涯にわたって能動的に学び続ける力の育成を目指している。そこで昨年度、これからの時代に求められるこうした力を、「学ぶ意欲(学びに向かう力)」「学んだ力(基礎的・基本的な知識及び技能)」「活かす力(思考力・判断力・表現力)」の3つに分けて、これら3つの力をまとめて「学ぶ力」とした。そして、この「学ぶ力」をバランスよく育成するには、授業や家庭学習、様々な教育活動においてアウトプット活動を通した学習指導法の工夫が必要であると考えた。また、文部科学省から出された「子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて」では、PC端末が鉛筆やノートと並ぶマストアイテムとして令和時代のスタンダードになり、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びに寄与すると示された。そこで本年度は、一人一台端末を活用し、個別最適化された学びや協働的な学びについても、新たな指導法を探りたい。
授業においては、自ら考え、判断し、表現するアウトプット活動を計画的に取り入れ、生徒が生き生きと活動する場面を設定することで、「学ぶ力」を育成できると考えた。また、家庭学習においては、きめ細やかな支援を行い、授業で学習したことを家庭学習でアウトプットさせ、成果を承認する環境を整備することで「学ぶ力」のさらなる育成ができると考えた。さらに、学校生活の他の様々な教育活動においても、アウトプット活動を位置づけ、生徒が自ら考え、判断し、表現する時間を十分に取り、学習の成果を承認することで、生徒の自己肯定感を高める指導ができると考えた。今年度は、一人一台端末が導入され、授業や家庭学習、様々な教育活動において、アウトプットを図るツールの一つとして活用が期待される。
これらの研究実践を通して、肥前中学校生徒の「学ぶ力」の育成を目指した学習指導法の工夫を行うために本主題を設定した。
「アウトプット」の定義
アウトプット活動を「考えたことを書いたり話したりする活動」と定義した場合、様々な活動が考えられ、その方向性は様々となる。そこで、本校では授業でのアウトプット活動を「ドリル型」「探求型」に分けて、方向性を持たせることにした。「ドリル型」のアウトプット活動は、これまでに学習したことをふまえて、実際に問題を解いたり、作品を作ったりするような活動とした。また「探求型」のアウトプット活動は、これまで学習したことをふまえて、単元を貫く大きな問いについて、情報を調べたり、まとめたりし、考えたことをレポートにまとめたり、生徒の前で発表したりする活動とした。
(3) 研究内容と方法
①年度当初にQUアンケートを行い、自己肯定感の低い生徒を把握する。自己肯定感の低い生徒が活躍できる場面を、授 業、家庭学習、行事など様々な場面で設定し、自己肯定感の高まりがあったかを、2回目(12月実施)のアンケート結果と比較して分析する。
②年度当初に学習アンケートを行い、授業中の「考えたことを書いたり話したりする活動」の取組状況や一人一台端末の利用状況、家庭学習の状況を把握する。授業では計画的にアウトプット活動を位置づけ、一人一台端末も活用しながら、家庭学習との連携をはかることで、どのような変化が現れたのか、2回目(9月下旬)、3回目(2月)のアンケート結果と比較して分析する。
③年度当初に意識調査を行い、「人の役に立つ人間になりたいと思うか」「将来の夢や目標を持っているか」「自分にはよいところがあると思うか」について生徒の状況を把握する。授業や家庭学習、行事など様々な場面で、自己肯定感を高めるアウトプット活動を行い、2回目(9月下旬)、3回目(2月)のアンケート結果と比較して分析する。
④年度当初に学力診断テストを行い、2回目(10月下旬)、3回目(2月)に得点がどのように推移したのか、全体の傾向を分析する。2年生、3年生については、学校に在籍時してから昨年までの傾向と比較を行い、1年生は中学校で学習した内容を扱ったテストについて前後を比較して分析する。(4) 期待する研究成果
授業、家庭学習、様々な教育活動において、一人一台端末を活用しながら、計画的にアウトプット活動を取り入れ、生徒が生き生きと活動する場面を設定することで、自己肯定感が高まり、「学ぶ力」を育成できると考えた。
(5) 研究組織
研究推進委員会〔校長・教頭・教務主任・研究主任・Eリーダー(随時)・各学年研究推進委員(随時)〕
【研究の実際】
1 授業におけるアウトプット活動
(1) ドリル型アウトプット活動
・小テストの実施(ドリルパークの活用を)
・カルタ、パズル、すごろくなどでアウトプット
・努力の成果を掲示
個別最適化された学びの視点で、アウトプットを実践 (2) 探求型アウトプット活動
・話合い活動(討論など)でアウトプット(オクリンクの活用を)
・問題をつくる活動でアウトプット
協働的な学びの視点で、アウトプットを実践 (3) 授業の考察
・学習アンケート分析
2 家庭学習におけるアウトプット活動
(1) 自学ノートやドリルパークでのアウトプット
・年度当初の指導について
・アウトプットの指導
・どこを取り組むのか、見通しを帰りの会などで、タブレットに記入し見通しを持たせる
・端末を家庭に持ち帰ることができないため,ドリルパークを印刷したものを配布する?(ドリルパーク用のファイルをつくる?)
個別最適化された学びの視点で、アウトプットを実践 (2) 自学グランプリ
・学期に一度開催する方向で
・探求型の自学も実践する
・ドリルパークを頑張っている生徒は、別に表彰すると良い授業とリンクした家庭学習
・授業の時に、どのようにアウトプットすればよいか、自学ノートのやり方を伝える(アウトプット,探求型と理解系の指導)
協働的な学びの視点で、アウトプットを実践 (3) 家庭学習の取組の考察
・自学ノートの良い例をPDF化しておき、具体例をみて考察する(職員で閲覧できるようにし、通信等で広める)
・学習アンケートの結果を考察する
・授業の中で、指導した内容で、自学ノートなどにアウトプットした事例をもつ
3 様々な教育活動におけるアウトプット活動
(1) 家庭と学校をつなぐアウトプット
・健康観察
・教科連絡
・日記
・保護者との連絡帳
・不登校生徒とのつながり
不登校生徒に向けて,個別に学校のお知らせや学習の課題を送付することは可能。
(Teamsの個人チャットを活用すれば可能)
ただし,原則持ち帰れないため,しくみを変える必要あり。
(授業、家庭学習、友人や担任の関わりの部分をどのように担保するか)
個別最適化された学びの視点で、アウトプットを実践 (2) 「パフォーマンス型」アウトプット
行事や学校生活で、考えたことを伝えたり、練習したことを発表したりする活動について、本校は「パフォーマンス型」アウトプットと定義した。ここでは、学校全体での取組と学級での取組を紹介する。
・立腰放送(原稿とスピーチのようす)
・体育大会実行委員、文化発表会実行委員、修学旅行実行委員のようす
(活動風景や、感想、教師の見取りを記録しておく)
・帰りの会を使った、スピーチやプレゼンなど
・帰りの会で小テスト
協働的な学びの視点で、アウトプットを実践 (3) 掲示型アウトプット
・生徒から集めた作品や感想文は、「掲示型」アウトプットとして行事ごとに廊下に掲示。
・教室や廊下、階段などの掲示物に、努力の成果を可視化できるように配置
・各教科、各学年で、掲示物で承認していく。
(4) 様々な教育活動の考察
・学校と家庭をつなぐ取組のようす(写真や文章から)
・学習アンケート
・生徒の活動のようす(見取り)
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