校長室から

 

     令和5年度の御挨拶  今年度、本校校長として赴任しました小野龍智(おのたつのり)です。8年ぶりに本校に戻ってきましたが、高等部のなかには私のことを覚えていてくれた生徒もいて、「あ、小野先生だ」と声をかけてくれ、うれしく思っています。校内を回ると、以前と同じような教室での様子がみられ、ただ人数も増えたなぁと思いながら、なつかしくもこれからの1年間を楽しみにしています。

 私は教師になってちょうど35年になります。その間、金立特別支援学校、中原特別支援学校にも勤務してきました。最近になって、以前かかわりのあった、もう成人になった方と偶然会う機会がありました。

 ひとりは、金立特別支援学校の卒業生です。今年の正月に筑後市の神社に初もうでに行くと、車いすの彼とお母さんがお参りにきているところでした。30年近く会っていませんでしたが、名前を呼ぶと返事をしてくれたので彼だとわかり、本人や、お母さんともしばらく懐かしい話ができました。肢体不自由の訓練会に参加していたときには5歳だったのに、もう40歳代です。

もうひとりは、近所のコンビニでコーヒーを買っているときに、まだ動いている車から飛びだすように降りてきて、お店に入ってきた女性です。私が学生時代にボランティアをしていたときにかかわっていた方で、本校を卒業しています。

降りてきてすぐに、ひょっとしたらと思いました。それは行動の様子が変わらなかったからです。一緒にきていたお母さんに話しかけると、やはりその方で、会ったのは昭和以来でした。こちらは本人とは話せませんでしたが、お母さんとはしばらく話ができました。

 以前は障害のある方と(特に田舎では)街中で会う機会は少なかったのですが、最近は見かけることも増えてきました。温泉に入っているときに本校の卒業生が入ってきたこともありますし、スーパーで買い物をしていると中原特別支援学校の卒業生に声をかけられたこともあります。

 行動援護などのサービスもあるでしょうが、障害があっても地域の中で生活していける社会に少しずつ変わってきたかなと感じています。そのためには学校でも地域にでていけるようにチャレンジしていく機会を増やしていきたいと思います。地域にでていくことで失敗もあるでしょうが、将来に向けて、そして社会に対してもどのような地域の様子になってもらいたいのか自分たち自身も考えていかなければなりません。

 学校は第一義的には勉強をするところですが、特別支援学校は障害者を取り巻く環境の一部でもあります。これからも子どもたちの将来とそのまわりの環境、世界を思い描きながら、では学校では何をするのか考えていきたいと思います。

 


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