
令和6年度学校だより号外
入力日
2024年11月5日
内容
西日本新聞に掲載
昭栄中の『学び合い』授業
2024年11月4日(月)
☆衆院選(10月27日)を控えた10月21日、本校佐保明尚教諭による社会科公民的分野の「国政」で、本校3年生を対象とした主権者教育の授業が行われまた。
☆記事タイトル《衆院選 中3が「1票」》
☆サブタイトル《佐賀1区 授業で公約比較》
☆記事内容
2016年に18歳選挙権が導入されて以降も若者の投票率が低迷する中、佐賀市立昭栄中学校の3年生約140人が先月の衆院選を題材に社会科の授業で模擬投票をした。
学校の模擬投票は「政治的中立性の担保」を理由に架空の選挙を扱うことが多いが、地元の衆院選佐賀1区の候補者や比例九州の各政党の本物の公約を見比べて一人一人が投票先を決めた。
生徒たちが学んだ「1票」の重みとは…
「消費税を下げると物の買いやすくなって子育て世代は助かる。少子化対策になる」「消費税廃止とか、実現性が低くない?」
10月下旬、生徒たちは成長戦略や憲法など6項目に関する各党の見解を新聞社がまとめた一覧表を基に意見を交わした。
公約の利点、欠点をプリントに記入し、投票先を見極めた。
主権者教育の一環として学校で模擬投票をする場合、本物の選挙選挙を扱うと教員が各党の公約に軽重をつける懸念がある。そこで、昭栄中では新聞報道や選挙公約を使い、生徒同士による対話型の学習を重視。教員はあえて公約の解説をせず、生徒の主体性に委ねた。
近藤叶芽さんは物価高対策に注目。複数の党が訴えた最低賃金アップを「市民生活が安定し、消費が活性化するけど、中小企業の負担は大きくなる」と受け止めた。
佐賀1区の立候補者2人については、片方の名前を知っていた程度だったが、授業を通じて両者の公約も吟味した。
模擬授業では本物そっくりの投票用紙を準備。衆院選投開票日(10月27日)の数日前に投開票したところ、小選挙区は自民党前職が勝利し、比例九州のトップは立憲民主党。現実とは異なる結果だった。
10月末、衆院選後の授業で、その理由を話し合った。生徒たちは公約を中心に投票先を決めたが、実際の民意はスキャンダルや社会情勢にも左右される。教室では、「政治とカネの問題が影響した」「人柄や言動、実績も含め総合的に考慮して投票したい」などの声が出た。
担当教員の佐保明尚さんは「公約を比べるだけでは見えない『有権者が政治家に望むこと』について考えることができた」と手応えを口にした。
福岡工業大の木下健准教授(政治学)は「生徒同士が学び合い授業にしたことで、教員の政治的中立性はクリアできたのではないか。実際の選挙を取り扱う授業のモデルケースとなり得る」と評価。
衆院選で与党が過半数割れして正解が揺れ動いており「投票が現実にもたらす影響も実感できるはずだ」と語った。
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