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令和3年度第2回白石高等学校卒業式 学校長式辞

白石高等学校 令和三年度、第二回卒業証書授与式 学校長式辞

 

式    辞 

 

 校庭に、同窓会より寄贈していただいた桜の花のつぼみも膨らみ、万物が春の息吹を謳歌する今日の佳き日、山口PTA会長様、松尾同窓会会長様、並びに保護者のみなさまの御臨席を賜り、白石高等学校第二回卒業証書授与式を挙行できますことはまことに光栄であり厚くお礼申し上げます。

 ただいま、卒業生百九十八名に卒業証書を授与しました。卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。

皆さんは、平成から令和へ大きく時代が動いた年に入学し、想像もしなかった新型コロナウイルス感染症の荒波の中で、これまで私たち人間が誰も経験したことのない生活様式や学校生活をこの三年間で経験しました。この逆風は、私たちに「今まで通り」や「前年通り」は全く通用しないのだということを学ばせ、大いに考えさせ、どんな時も、自分自身が自分や家族を守るために、置かれた環境の中で対応していかなければ生き残れないのだとも教えてくれました。これは、奇しくも生物学者ダーウィンが、今から一六三年前に著書である「種の起源」の中の進化論で述べたことと通ずるものであります。

ダーウィンは、次のように言っています。「生き残る種とは、最も強いものではない、最も知的なものでもない。それは変化に最もよく適応したものである」と。まさに今、コロナ禍を生きる私たちへの告知であるかのようだと思いました。

皆さんはこの三年間で多くのことを我慢し、断念したこともありました。しかし、どんな困難な事態でも、その時、その場で、自分たちにできることを一生懸命考え、前を向いて行動する力を身に着けてきました。そんな三年生の存在は白石高校の希望の光であり、その姿に後輩たちや私たち教員も感動しました。

見事に変化に適応していく皆さんのその力は、長い人生の中で、いつか必ず役に立つ、素晴らしい能力だと思います。高校時代にコロナという逆行をしなやかに乗り越えた、へこたれないかっこいい世代だと自信をもって生きていってください。ここから大切な何かを学び五年後、十年後、二十年後に、皆さん達は「地域や世界へ大きく羽ばたき、誰かの為に役に立つ人」になれると私は確信しています。

 

さて、今、卒業生百九十八人が百九十八通りの旅立ちを迎えています。飛び立つ準備はできているでしょうか。心理学者であるアルフレッド・アドラーは「人間は自分の人生を描く画家である。あなたをつくったのはあなた。これからの人生を決めるのもあなた」だと言っています。

私は、今日ここを旅立つ皆さんに人生の先輩として、そしてこの白石高校の先輩として、二つの言葉をはなむけとして送りたいと思います。

 

一つは「常に心の回復力(レジリエンス)を高めよう」ということです。

これからの人生、すべて自分の思う通りうまくいくことはありません。すべてはトライ&エラーです。しかし、失敗すら無駄にはなりません。ただ、どんな困難にぶつかっても、しなやかに回復し、乗り越える力、逆境や困難から立ち直る「打たれ強さ」を身に着けてほしいと思います。強い自分も弱い自分もあなた自身です。どんな自分でも大丈夫だと肯定することで折れない心を育んでください。人生は大波、小波の繰り返しです。でも、この三年間の大波を乗り越えられたみなさんは、この先どんなビッグウエーブも乗り越えられるだろうし、波を捕まえ、波に乗ることもできると思います。高い志を持ち、レジリエンスを高め、あなたらしく、しなやかに前へ進んでください。

二つ目の言葉は「恩送り」です。これは私自身が人生の指針としている言葉であります。

縁があって私たちはこの白石高校で出会いました。みなさんは担任の先生や多くの先生たち、級友たちや後輩たちに出会うことができました。そして最後に、この縁は三年間で「絆」に変わったのではないでしょうか。

皆さんは、保護者や家族の方々にはもちろんですが、多くの人から支えられ、助けてもらい、たくさんの恩恵を受けて今日(こんにち)の自分が存在しています。

今度は、自分が今まで誰かにもらったそのご恩を、他の誰かに渡し、贈ることで、これから出会う人が少しでも笑顔になり、他の誰かの役に立てる、そんな人になってほしいと心から願います。

「卒業は旅立ちです」これから一人ひとりが、それぞれに異なる道を歩みます。白石高校は皆さんのパワースポットとしてここに在り続けます。不安になった時は振り返り、再び安心して前を向いて進んでいってください。ここで学んだ皆さんがこれから大海原で修行し、将来、地域や世界のために貢献できる大人に成長することを願っています。

最後になりましたが、保護者のみなさま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が成長された今日の姿はまばゆく、きっと感動で胸が詰まるような思いではないでしょうか。三年間、保護者のみなさまから本校教育活動に対する深いご理解、御協力を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。

 結びに、進む道はそれぞれ異なりますが、両キャンパスを巣立ちゆく皆さんの前途が、健やかで幸多からんことを心から祈念し、式辞とします。

 

令和四年三月一日          

佐賀県立白石高等学校

            校 長  岸川 美和子       


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