部活動に係わる活動方針

◇はじめに

 部活動は学校の教育活動の一環として、我が国のスポーツや芸術文化等の振興を大きく支えてきた。また、健康保持や体力、技能の向上だけでなく、異年齢との交流の中で、生徒同士や生徒と教師等の好ましい人間関係の構築を図り、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場として、その教育的な意義は大きいものがある。

 本校においても、部活動に取り組む生徒は8割程度おり、多くの生徒の健全育成を支えてきた。特に生徒が中学校総合体育大会や県吹奏楽コンクール等での活躍を胸に描き、そのために仲間と協力し、努力を重ねる経験は、生徒の心身の発育・発達に大きな役割を果たしてきた。このことは顧問として献身的に指導に当たってきた本校職員や保護者、地域の方々の協力なしには成しえなかったことである。

 しかしながら、今日において社会情勢の変化は早く、部活動を取り巻く環境も著しく変わってきており、従前の運営体制では維持が難しくなり、学校や地域ではその存続が危ぶまれる例も見られる。活動内容についても時間をかければよいという量から、短時間で効率的・効果的な質への転換が求められている。

これらのことから、生涯にわたって豊かなライフステージを実現する資質・能力を育む基盤となる部活動が継続可能なものとなるよう、部活動の在り方について抜本的な改革に取り組む必要がある。

 

○ 本校の部活動に係る活動方針策定の趣旨等

 本校の部活動に係わる活動方針(以下、「本方針」という。)は、佐賀県並びに鹿島市の「運動部活動の在り方に関する方針」及び「文化部活動の在り方に関する方針」をもとに、部活動の活動時間及び休養日の設定、その他適切な部活動の取組に関する事柄を示すことで、生徒にとって望ましい環境を構築するとともに、部活動が地域、学校の実態に応じて多様な形で最適に実施されることを目指すものである。

 

○ 部活動の学校教育における位置づけ

・学校教育の一環としての運動部活動

現行の学習指導要領では、部活動について、学校教育の中で果たす意義や役割を踏まえ「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する」ことが明確に示されている。このことから部活動は教育課程との関連を図りつつ、効率的・効果的な取組をしていく必要がある。

 

・部活動の意義と効果

ア 学校教育活動の一環として行われる部活動は、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師と 生徒等の人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなどの教育的意義が大きい。

イ 学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養、互いに協力し合って友情を深めるといった好ま しい人間関係の形成等に資することから、本校生徒の「生きる力」を育む大きな原動力ともなっている。

ウ 運動部活動では、体力の向上や健康の保持増進はもとより、スポーツに興味と関心をもつ 同好の生徒が、より高い水準の技能や記録に挑戦する中で、スポーツの楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てることができる。文化部活動では、将来様々なライフステージにおいて、芸術文化等の能力向上や生涯を通じて芸術文化等に親しむ基礎を培うことができる。

エ 部活動にはこのように大きな教育的な意義と効果があり、生徒の実態や指導に当たる部活動顧問の負担、学校の状況等をよく踏まえ、バランスが取れた適切な運営体制を構築することが必要となる。

 

1 適切な運営のための体制整備

(1) 部活動の方針策定等

ア 校長は、本方針に則り、毎年度、「学校の部活動に係る活動方針」を策定する。

イ 校長は、「学校の部活動に係る活動方針」及び各部活動の「年間の活動計画」を公表する。

ウ 部活動顧問は、年間の活動計画(活動日、休養日及び参加予定大会やコンクール、コンテスト、発表会日程等)並びに毎月の活動計画及び活動実績を作成し、校長へ提出する。

エ 部活動顧問は、生徒及び保護者等に対し「活動目標」、「指導の方針」、「活動計画」、「指導内容や方法」等を具体的に示す。

 

(2) 指導・運営に係る体制の構築

ア 校長は、各学校の部活動数について、生徒及び教師の数、部活動指導員の配置状況を踏まえ、円滑に部活動を実施できるよう適正な数の部活動を設置する。

イ 校長は、部活動顧問の決定に当たっては、校務全体の効率的・効果的な運営、顧問の校務分掌を考慮し、部活動指導員の配置状況を勘案した上で行う。

ウ 校長は、設置する部活動について、指導内容の充実や生徒の安全・安心の確保、教員の長時間勤務の解消等の観点から円滑に部活動指導員を活用するなど、複数の顧問を配置するよう努める。

エ 校長は、部活動指導員等の協力を得る場合には、学校全体及び各部の「目標や方針」、「活動計画」、「具体的な指導内容や方法」、「生徒の状況」、「事故対応」等について、学校、顧問の教員及び部活動指導員等との間で十分な連絡調整を行い、情報の共有と共通理解を図る。

オ 校長は、毎月の活動計画及び活動実績の確認等により、各部活動の活動内容を把握し、生徒が安全に活動を行い、教師の負担が過度とならないよう、適宜、指導・是正を行う。

 

2 合理的で効果的な活動の推進

(1) 部活動顧問は、教育課程の関連を図る上においても、生徒が自ら考え、計画していく(ボトムアップ理論)に基づく指導方法等を実践し、生徒自らが自分の目標や課題を設定し、その達成、解決に向けて必要な内容や方法を考えたり、調べたりして、実践につなげられるよう部活動に主体的に取り組む力を育成する。

 

(2) 校長及び部活動顧問は、部活動の実施に当たっては、佐賀県並びに鹿島市が作成した「運動部活動の在り方に関する方針」及び「文化部活動の在り方に関する方針」に則り、生徒の心身の健康管理、事故防止及び体罰・ハラスメントの根絶を徹底する。

なお、夏季の部活動における高温や多湿時の活動では、熱中症事故防止の観点から適切な対応を徹底するとともに、気象庁の高温注意情報が発せられた場合には屋外の活動を原則として行わない等の対策を講じること。

校長は、各部活動の取組が徹底されるよう、必要な支援・指導及び是正を行う。

 

(3) 部活動顧問は、生徒の心身のバランスのとれた成長を図る観点から、各競技・分野の特性を踏まえた科学的なトレーニング方法を積極的に導入し、生徒の発達段階に応じた適切な休養を取りながら、短時間で効果が得られる活動を実施する。その際、中央競技団体等が示す指導手引き等を活用し、合理的で効果的な活動とする。

 

(4) 校長は、部活動が勝利至上主義の意識・価値観による行き過ぎたものとならないよう配慮する。その際、目先の勝敗にとらわれて長時間の練習を行うことが生徒のためにならないことを理解し、スポーツ障害やバーンアウトを防ぐことなどについて保護者にも理解と協力を得るよう努める。

 

3 適切な休養日等の設定

(1) 部活動における休養日及び活動については、成長期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、医学・科学の観点からの下の基準とする。

ア 学期中の休養日(週当たり2日以上)

・毎月:第3日曜日を「県下一斉部活動休養日」とする。

・平日:毎週水曜日を休養日とする。但し、その週のうち、学校行事、臨時休業(疾病や自然災害)等でほぼ全部活動で活動休止の日があった場合はその限りではない。

・週休日:土曜日、日曜日の少なくとも1日以上を休養日とする。

・その他:大会等により、週休日に活動する場合は休養日を平日に振替える。

イ 長期休業等の休養日

・学期中に準じた扱いを行う。

ただし、長期休業の趣旨に鑑み、生徒が家族・地域で過ごす時間等の確保に配慮し、生徒にとって無理のない適切な計画を立て、ある程度の長期休養期間を設ける。

ウ 活動時間

・平日:長くとも2時間程度

・休業日:長くとも3時間程度(学期中の土・日・祝日含む)

※大会・コンクール・コンテスト等への参加の場合は、必要に応じて適切な時間を設定する。

エ 下校時刻

・活動時間に合わせ下校時刻を設定する。

下校時刻の設定に当たっては、日没時間を目安に生徒が安全に帰宅できる時間となるよう考慮し、その際、女子の下校時刻の設定には特に配慮をすること。

オ その他

・校長は、各部活動の休養日等の設定について、常に監督し、必要に応じ適切な助言を行う。

 

(2) なお、校長は休養日及び活動時間の設定について、地域や学校の実態を踏まえ、定期試験前後の一定期間、学校全体、市共通の部活動休養日を設けたり、週間、月間、年間単位での活動頻度・時間の目安を定めたりするなどを検討する。

 

4 生徒のニーズを踏まえた環境の整備

(1) 学校は、部活動が生徒の自主性、自発性な参加に基づくものであり、技術・技能の向上以外にも、友達と楽しめる、適度な頻度で行える等多様であることを踏まえ、季節ごとに異なる活動を行う部や大会志向でなくレクリエーションとして行う活動、生徒のニーズを踏まえた部活動等の設置を学校の施設や担当する職員等を考慮し可能な範囲で検討するなど、生徒の運動や芸術文化に触れる機会の創出を図る。

 

(2) 校長は、学校と地域・保護者が共に子供の健全な成長のための教育、環境の充実を支援するパートナーという考えの下で、こうした取組を推進することについて、保護者の理解と協力を促す。

 

5 大会参加の見直し

校長は、生徒に与える教育的意義、生徒及び部活動顧問の負担等を考慮し、参加する大会・試合等を精査する。

土曜日、日曜日のいずれかに休養日が設定できるよう、原則として大会・コンクール・コンテスト等への参加が連続週にわたることがないよう考慮する。


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