
校長室
令和7年度 ごあいさつ
佐賀県立唐津特別支援学校のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
昨年度から、唐津特別支援学校の校長を務めています柿原章男です。
どうぞよろしくお願いいたします。
日頃より、本校の教育にご理解・ご協力を賜り感謝申し上げます。
本校は、佐賀県の特別支援学校の中で最も北にあり、福岡県境まで車で15分程度のところに位置しています。
本校は、平成13年度に開校し、今年度で創立25周年を迎えました。知的障害と肢体不自由の教育部門からなり、児童生徒数は、令和7年4月10日現在、小学部44名、中学部33名、高等部65名、総計142名です。
また、佐賀県立唐津特別支援学校好学舎分校(以下、分校と表記)は、平成30年度に開校し、今年度で創立8周年となります。教育部門は病弱のみです。児童心理治療施設好学舎の定員は30名ですが、令和7年4月10日現在、小学部7名、中学部12名、総計19名です。好学舎の増員に伴い、徐々に増加していくものと思われます。
1 校訓 ・明るく元気に ・心豊かに ・たくましく
2 学校教育目標
児童生徒一人一人に応じた教育活動を通して、子どもたちの持つ可能性をできる限り広げ、校訓にうたっている「明るく元気に生きる力」「心豊かに生活する力」「たくましく自立し社会に参加する力」をはぐくむとともに、他人を思いやることのできる児童生徒を育成する。
3 目標達成のための学校経営ビジョン
・ 子どもが今日の学校生活に満足し、明日の学校生活を期待することができる学校をつくる。
・ 子どもが今日の学校生活を「自分から」「自分で」取り組み、「やりがい」「手ごたえ」を感じ、「精一杯」「存分に」活動し、「充実感」「満足感」に浸ることができる学校をつくる。
4 本校の教育の基本的な考え方
(1) 子ども主体の豊かな学校生活づくり
(2) 能力に応じた教育から脱却し、ニーズに応じた教育
(3) 社会生活上の不利を最重要視する障害観
(4) 子どもを学校生活の主体者とする子ども観
⇓
『今を豊かに生きる』をめざす
5 『今を豊かに生きる』をめざすために
(1) 今を豊かに生きられる状況づくり
・ 卒業後、豊かに生きられるようにするために、今の生活を手段にしたり、犠牲にしたりして、
生きる力を付けるというのではなく、現在の生活で、今を豊かに生き、今の生活の充実・発展として、将来も豊かに生きられるようにする。それぞれの年齢・発達段階や個人の状態に応じて、豊かに生きられるような状況づくり(質の高い生活のできる状況づくり)に努めることが大切である。
・ 生活活動を教育の手段として、生活に必要な知識や技能の習得を図ろうというのではなく、今を「豊かに生活する」こと自体を目指すことが重要である。このことを理解し、実践するためには、教師の意識改革が最大の課題である。
(2) 整えられた生活への自立的・主体的取組
・ 生活の質を高め、今を豊かに生きるためには、経験の内容の多様さよりも、活動や生活への取り組み方そのものに本質を求めることが必要である。
・ 整えられた生活に、自立的・主体的に取り組むことで、豊かに生きる生活は確実に実現される。
・ 学校における子どもの姿は、「生活させられる子ども」ではなく、「生活する子ども」である。
教師に「させられる生活」ではなく、自分から、自分で「する生活」になるようにしたい。
(3) 本人主体の生活の実現
・ 「させられる活動」「させられる生活」からは、「質の高い活動」「質の高い生活」は望めない。子どもたちが主体となる生活を実現するためには、「する生活」が送れるようにすることが必要である。子どもの主体的な活動を促すには、自然で実際的な活動を多くして、生活を進める必要がある。
・ 子ども主体の学校生活づくりにおいては、「自己決定と本人参加」をどのように実現していくのかが課題である。さまざまな行事や学習活動の計画と実行において、子どもが選択する場面や役割を果たす場面が随所に設けられることが重要になる。
(4) 自立的・主体的に取り組める状況づくり
・ 本人主体の学校生活をめざして、教師が行うことは、子どもが自立的・主体的に活動し、生活できる状況をつくることである。その「できる状況づくり」としての支援は、自立的・主体的に活動し、生活しやすいように、生活を整え、支えることである。そのように考えると、教師の行うことは、「生活の支援」であり、「子どもへの支援」である。「教える対応」というよりは、「支える対応」であり、「指導」というよりは「支援」であると考えたい。
(5) 力と個性の発揮を積み重ねて
・ その子どもなりに、目一杯自立的・主体的に活動し、生活すれば、どの子どもも力と個性を最大限に発揮するようになる。教師は、子どもが目一杯自立的・主体的に活動し、生活できる状況づくりに努めなくてはけない。自立的・主体的な活動の積み重ねは、言い換えれば、力と個性の発揮の積み重ねである。その子なりに、さまざまな力と個性を最大限に発揮し、積み重ねることで、その力は確実に高められ身に付く。個性は、より個性的になり、個性的価値を高めることができる。「○○の力」を付けるために生活(活動)に取り組むのではない。自立的・主体的な活動に取り組む中で「○○の力」(その子なりに必要な力)が身につくと考えることが必要である。
・ 計算ができるようになってから、買い物に出かけると考えると、買い物に出かけることができない子どもがたくさん現れる。買い物が「できる状況」を作り上げることが必要である。買い物を「できる状況下」の中で繰り返すことで、その子なりに買い物をするための力が身につく。
・ 自立的・主体的な活動の積み重ねができる状況づくりは、その子どもが、さまざまな力と個性を最大限に発揮できるようにすることでもある。力と個性を最大限に発揮できることは、今を豊かに生きることである。今を豊かに生きることの積み重ねは、現在の生活の質を高め、将来、より豊かに生きることにつながる。
(6) 現在の生活の充実・発展を図り、卒業後の豊かな生活につなげる教育
・ 自然で実際的な生活を大切にする。生活の場としての学校で、生活者として子どもが取り組む活動は、本物の生活活動である。学校生活をより充実した教育活動にするためには、現実的で実際的な場面で活動しなくてはいけない。また、生活者としての流れやまとまりが必要である。そのような活動で構成された学校生活を送ることができれば、子ども主体の生活となりうる。
・ 週時間割を帯状にしたり、週時間割にこだわらず、行事や季節、子どもの興味関心に課題を設けた単元化した学習活動(テーマのある学習活動)を計画したりするのは、そのためである。「○○の力」を付けるための学習活動、練習・訓練的な時間として授業を捉えるのではない。週時間割を考えるときには、単にコマを埋めていくのではなく、自然で実際的な生活を子どもが送れることを大切にして検討したい。
(7) 主体的に取り組む生活
・ 子どもの学校生活を大切にする考え方は、子どもを学校生活の主体者として考える。生活が充実すれば、その過程で、さまざまなことを学習し、子どもなりの発達も見られる。
・ 学習者として子どもを見ると、教育・指導の対象となり、教育され、指導される子どもになる。生活者としての子どもは、生活の主体者であり、生活させられる子どもではなく、生活する子どもである。この考え方は、子どもが主体的に取り組む生活を望むのであれば、このような考え方が自然である。
以上、「本校の教育冊子」にも示された教育方針の下、子どもたち、保護者、家族の皆様をはじめ、地域の皆様、関係諸機関の皆様のお力添えをいただきながら、日々の教育活動に取り組んでいます。
今後とも、皆様方のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
佐賀県立唐津特別支援学校長 柿原 章男