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いじめ・いのちの講話 尚矢さんのこと
入力日
2021年3月1日
内容
本日3月1日は「いじめ・いのちの講話」の日でした。いじめ・いのちの講話は城北中学校の人権・同和教育の取り組みで、担任の先生以外の教職員が各学級へ出向いて10分の講話を行うものです。教職員なので、事務室の先生が出向かれる場合もあります。それぞれがこれまで体験したことなどをもとにいじめ・いのちに関わる話をします。
本日私は3年5組へ出向いて話をしました。テーマは「尚矢さんのこと」でした。尚矢さんは金高尚矢という子どもです。私が3年前に唐津第一中学校へ赴任したときに、唐津第一中学校の玄関に下の尚矢さんが書いた「笑」という文字のパネルを見つけました。金高尚矢さんは、小学5年生の時に急性骨髄性白血病を発症し、闘病生活を余儀なくされました。彼はバスケットボールをしており、全国大会出場をめざしてがんばっている最中のことでした。中学校入学とバスケットボール部への入部を夢見て、放射線治療などさまざまな治療に堪えぬきましたが、病状は一進一退。普通なら絶望のどん底で落ち込みそうなものですが、彼は両親や周囲の人に笑顔で接し、周囲の人を逆に元気づけます。この「笑」という文字はそのときに彼が書いたものです。病状が悪化する中、せめて入学式だけはという両親の願いが叶えられ、お医者様から入学式への参加が許可されました。そして第一中学校の入学式に参加しました。
彼が中学校に通ったのはこの一日だけ、その後病状が悪化して天国に召されました。
彼の両親はこの尚矢さんが精一杯生きた姿を本にされ出版されました。そして中学生に命の大切さについて講演をされています。彼の同級生たちは尚矢さんと共に生きることを心に誓い、さまざまな場面で活躍しています。尚矢さんと共にバスケットボールに打ち込んだ同級生たちは、この夏の高校のSSP杯で見事優勝し、尚也さんに優勝の喜びを報告しました。また、唐津を離れ、鹿児島城西高校のエースとして甲子園に出場した同級生の八方さんは、「尚矢さんの存在があったから、コロナ下の困難な状況も乗り切ることができた」と話してくれました。このことは新聞でも大きくとりあげられました。
本日3月1日は県立高校の卒業式の日です。尚矢さんの同級生たちは卒業式を迎えています。きっと今日の午後には同級生たちが卒業の報告を尚矢さんや尚矢さんの両親にしていることと思います。
本校の中学3年生も新型コロナウィルスの感染拡大でさまざまな制約を受けました。我慢に我慢の日々です。しかし、逆境に負けないでほしい。今後自分を生かせるときが来ることを信じてがんばってほしい。そういう思いで3年5組の生徒に尚矢さんの写真を見せて、話をしました。がんばれ3年生。
校長 堤 賢二
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