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学力向上と生徒指導

一斉授業は学習者に主体性があってはじめて価値がある。

しかし、ほとんどは受動的。

しかも、個に応じることが難しいのが一斉授業!

 

なぜ,アクティブ・ラーニングなのか?

 

[グランドデザイン1 ~学習意欲の喚起を促す生徒理解と自己肯定感の高まり~]

 

「教科指導=生徒指導」は周知の通りであり,授業場面では教材研究とともにいかに生徒指導3機能(・自己存在感,自己有用感を与える・共感的人間関係を育成する ・自己決定の場を与える:文科省生徒指導提要 平成22年4月2日)を取り入れるかが授業づくりのポイントと言われる。

 

思春期真っ只中の中学生の時期は様々な場面で心の葛藤がある。将来のこと,仲間のこと,学力のこと,家族のことなど,様々であり,そのことがもとで不安や悩み(以下:「心の揺れ」)を持つ。授業中に生徒の集中力が感じられなかったり,元気がなさそうに見えたりする時,およそ心の揺れがある時と考えてもよい。無論,心の揺れを抑えて学習に取り組むことができる生徒もいるが,そうでない生徒もいる。

 

そこで,校内研究では,生徒の心の揺れにも勝る授業構築と生徒理解が必要と考えた。授業場面における生徒理解とは,下図グランドデザイン1の左に示されている学習意欲の向上プロセスである。一斉授業では,生徒指導の3機能を生かしたり,個別に注意したりして授業に引き込もうとするが常にできることではない。場合によっては教師の意図と逆行して注意されたと思い違いしたり,他生徒からの批判を浴びたりすることがある。しかし,主体的な学習活動を仕組めば,仲間との会話量が増えたり,仲間の良さに気付いたりして心の揺れを減少させることができる。つまり,仲間との豊かなかかわりの中で育まれる学び合いや高め合いが学習意欲の向上プロセスを徐々に高める手立てとなる。このような考えを基に,アクティブ・ラーニングの有用性を価値付けした。

 

 
 

 

[グランドデザイン2 ~自己肯定感の高まりと学習意欲~]

 

生徒の出番・役割に対する承認は大人だけが対象ではない。小学生対象の「学習ボランティア」では,勉強を教えてもらう小学生からの承認が発生する。数年前までは同じ小学校の学び舎で学校生活を共にしていた上級生が中学校の制服をまとった途端に大きな大人に見えてしまう。近いようで遠い関係になってしまった中学生から勉強を教えてもらえば,小学生の純粋な態度や表情が自ずと承認となる。さらに,そのことを家族の話題とするならば,家族は中学生を認めるだろう。つまり,そこには承認のサイクルが成立する。承認のサイクルは中学生に自己肯定感を与え,自己実現への階段へと一歩踏み出すことになる。

 
 

[グランドデザイン3 ~承認場面を構築する地域連携~]

 

出番・役割・承認場面は多ければ多い方が良い。なぜなら自己肯定感を育む場が増えるからである。

学校内だけの活動では承認場面は限られてくる。外部講師や来賓,または来客の出入りによる承認場面はあるが,普段は,その学校職員との設定しかなく自ずと学校職員からの承認のみと限られてくる。無論,全校表彰や紹介で承認場面は設定できるが,できれば承認場面を地域にも拡散することでより多くの生徒のさらなる自己肯定感の高まりが期待したい。

 

そこで,場面設定を,小中連携,幼保中連携,地域連携に求めることが,承認場面を増やす大切な連携となる。例えば,中学校ではキャリア教育の一環として職場体験学習が総合的な学習の時間に設定されている。職場体験学習は,勤労の意義を職業人から感じたり,学んだりすることで自己の進路実現に生かす学習活動である。学校は事前に受け入れ事業所・企業と打ち合わせを行うが,ここで両者が学習活動の内容の情報交換や打合せのみで終わらないことが大切である。学校からは,本人の目覚ましい場面や出来事などを告げ,何かの折に話題にしてもらうことをお願いする,受け入れ先からは,態度や振る舞いの良さを褒めてもらう場面があれば,そのことを連絡してもらうなどの共通理解をすることで承認場面を構築した地域連携が成立する。

 

地域連携を推進する際に重視することは,連携行事が成立できたことと併せて,その目的を承認場面の設定と考え,意図的にその手立てを仕組むことである。このサイクルが軌道に乗ることで地域教育力の高まりが期待できる。

 

 

 

 

 
 

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